ロシアン・ドゥーマー
ベラルーシ・ロシアのポスト・ソ連系ポストパンク/コールドウェイブをDoomerウェイヴ文化が再ブランド化したサブシーン。
どんな音か
生まれた背景
1980年代ソ連ではシューゲイザーやニューウェイヴが西側メディアを通じて浸透。その後ソ連崩壊、ロシア・ベラルーシの経済的混乱を経て、2000年代から『ポストパンク・リバイバル』が起こる。Molchat Doma『Etazhi』(2017) が TikTok 経由で 2018 年頃に再発見されると、『ロシアン・ドゥーマー』というカテゴリーがネット上で非公式に形成。Doomer(絶望的な若者)文化の『音声化』。
聴きどころ
ボーカルの『無感情さ』を体験する。Molchat Doma『Sudno』(2018) では、歌詞内容の『グロテスク』さと、音声表現の『淡々さ』のズレが重要。Motorama『Native Tongue』(2010) は比較的『感情的』で、相対的な美しさが浮かび上がる。ドラムの『乾いた』音に注目。
発展
TikTokを介して西側ティーンに大量輸出され、Doomerウェイヴ・プレイリストの中核となった。
出来事
- 2010: Motorama『Alps』 / 2017: Molchat Doma台頭
派生・影響
Post-punk、Cold Wave、Doomer Wave、New Wave。
音楽的特徴
楽器ギター、ベース、ドラムマシン、シンセ、声
リズム中速、ポストパンク・グルーヴ、暗い旋律
代表アーティスト
- Motorama
- Molchat Doma
代表曲
Etazhi — Molchat Doma (2017)- Sudno — Molchat Doma (2018)
Native Tongue — Motorama (2010)
Молодость — Motorama (2014)
Tantsevat — Molchat Doma (2017)
日本との関係
2010年代後半、ニコニコ動画の『絶望的な夜間ツイート民』層が ロシアン・ドゥーマー を発見・共有。アニメ・ゲーム文化との直接的な連携はないが、『日本のネット文化の孤独さ』と『ロシアの虚無感』の相互認識が生まれた。
初めて聴くなら
Molchat Doma『Etazhi』(2017) は短く(2 分 30 秒)、この音の本質が濃縮。落ち着いて聴くなら Motorama『Молодость』(2014)。
豆知識
『Molchat Doma』はロシア語で『無言の家』『沈黙の館』。『Etazhi』は『階(階段)』を意味し、『社会の階級』『建物の階層』の両義性がタイトルに内包。Doomer は『Millennial』に対する自嘲的な造語で、『世代的な絶望』を象徴。
