伝統・民族

クラパ

Klapa

スプリト・ダルマチア / クロアチア / バルカン · 1850年〜

クロアチア・ダルマチアの男声多声合唱。

どんな音か

男声4〜8人がハーモニーを組んで歌う無伴奏(またはギター・マンドリンの控えめな伴奏)の合唱だ。テナー・バリトン・バスが三層に分かれ、特にテナーの最高音が響く瞬間にダルマチア海岸の空気が漂う。音程の精度が重視され、声が重なる部分でわずかに揺れるヴィブラートが独特の熱さを出す。歌詞はクロアチア語(ダルマチア方言)で、愛と郷愁と海をテーマにしたものが多い。テンポはゆっくりで、一音を長く引き伸ばすことで感情を込める。

生まれた背景

ダルマチア(クロアチア沿岸部)はアドリア海に面した港湾地域で、ヴェネツィア共和国の支配下に長くあった。多声合唱の習慣はイタリアの影響を受けながら南スラブの民謡と融合し、19世紀後半に現在の形に近いクラパが成立した。1967年にオンブリュ(Omiš)という町で始まったクラパ・フェスティバルが全国的な普及に大きく貢献した。ユネスコは2012年に無形文化遺産に登録。

聴きどころ

声のブレンドの密度に注目する。声が完全に溶け合う瞬間と、声部が少し分かれて聴こえる瞬間が交互に来る。クラパ・カンビの『U To Vrijeme Godišta』(1985年)はその切り替わりが分かりやすい。クラパ・ス・モラの『Mižerere』(2013年)は現代的な録音で音質がよく、各声部の輪郭を追いやすい。

発展

1980年代に女声・混声Klapaも発展。2012年ユネスコ無形文化遺産登録。Croatian Eurovision出場団Klapa s Mora(2013)で広く認知された。

出来事

  • 1967: Omišフェスティバル創設
  • 2012: ユネスコ無形文化遺産登録
  • 2013: Klapa s Mora Eurovision出場

派生・影響

イタリア地中海男声合唱、コルシカParghjellaと類縁。

音楽的特徴

楽器声(無伴奏男声、まれにマンドリン伴奏)

リズム緩慢な4声和声、テナー高音中心

代表アーティスト

  • Klapa Cambiクロアチア · 1972年〜
  • Klapa s Moraクロアチア · 2013年〜

代表曲

日本との関係

日本でクロアチア音楽が知られる機会は少なく、クラパが単独で紹介されることはほぼない。クロアチアのサッカーチームが世界的に注目される際に国の文化として言及されることはあるが、音楽への関心までは届かない。

初めて聴くなら

クラパ・ス・モラの『Mižerere』(2013年)は現代的な録音で聴きやすい。アカペラ部分では声の重なり方だけを追う。夜、少し暗くした部屋でヘッドフォンで聴くと、声のテクスチャが細かく聴こえる。

豆知識

クラパは本来、男性だけの文化だったが、現在は女声や混声のクラパも存在する。オンブリュのフェスティバルでは毎年夏に国内外のクラパが集まり、審査員が音程・声のブレンド・表現力などを採点する競技形式が採られている。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1500年代1850年代クラパクラパカントゥ・ア・テノーレカントゥ・ア・テノーレ凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
クラパを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

クラパ の系譜全体図(多段)を見る

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