グナワ
モロッコのスーフィー的儀式音楽。Guembri(リュート)と鉄製カスタネット(qraqeb)が特徴。
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ひとことで言うとモロッコのスーフィー的儀式音楽。Guembri(リュート)と鉄製カスタネット(qraqeb)が特徴。
まずはこの曲からNass El Ghiwane — Ya Sah ▶ YouTube
代表的な人Maâlem Mahmoud Guinia
どんな音か
グナワの音の核はゲンブリ(guembri、または sintir)と呼ばれる3弦の低音リュートだ。胴体は木で骨格を作り、ラクダや牛の皮を張った独特の共鳴体を持ち、弾いた音は乾いてピシャリとした質感——ウッドベースとも違う、地面に吸い込まれるような低音が出る。これにカラカブ(qraqeb、鉄製の大型カスタネット)の金属音が絡む。カラカブはひとつの奏者が両手に二枚ずつ持って激しくぶつけ合い、高音のカシャカシャした響きが洞窟に反響するように空間を埋める。歌は詠唱に近く、マアレム(maestro、師匠)が呼びかけ、集団が応答する。全体のテンポは緩やかに始まり、儀式の進行とともに徐々に速くなっていく。
聴きどころ
最初に注目してほしいのはゲンブリ(gimbri/hajhuj)——駱駝革の共鳴胴に3本の腸弦を張った低音楽器で、ベースのように旋律線と拍を同時に鳴らす。奏者(m'allem、師匠)が親指と人差し指でリズムパターン(dqiqa)を刻み、他のメンバーが金属カスタネットのクラケブ(qraqebs)でその上に高音の反復ビートを重ねる。基本のリズムは6/8複合拍子で、西洋耳には『3拍のワルツと4拍のマーチが重なった』ように聴こえる。次に儀礼曲(lila)の色彩構造で、伝統的なlila(徹夜儀礼)は7つの『色』(mluk、精霊たち)に対応する7組の楽曲で構成される——黒(サハラの精霊)、赤(戦士の血)、緑(預言者の色)、白(天使)、青(海と憂鬱)、黄色(女性の精霊、女性のみが憑依する)、そして最後の万華鏡的な混合色。ハミド・エル=カスリの『Baba Mimoun』は白の楽曲群の代表で、ゲンブリの低音がゆっくり体を揺らす催眠効果を持つ。マーレム・マフムード・ギニアの録音では、ヨガ的な深い呼吸のような伸縮が聴こえる。エッサウィラのフェスティバル録音では、gnawaと外部ジャズ・ミュージシャン(パット・メセニー、マーカス・ミラー)との対話がゲンブリの旋律語彙を明らかにする。
初めて聴くなら
入り口はマーレム・マフムード・ギニア『La Musique Sacrée des グナワ』(1990)。伝統的なlila儀礼の様式を、レコーディング可能な形に凝縮した基準的な録音だ。次にハミド・エル=カスリ『Fiyah』(2010)、現代の第一線のm'allemの音の広さがわかる。フュージョン方向を聴きたければRandy Weston『Spirit! The Power of Music』(2005)、ジャズ・ピアノとゲンブリの対話が完璧に噛み合う瞬間がある。エッサウィラ・フェスティバルの公式ライブ盤も、gnawaが外の音楽と衝突する現場の熱気を伝える。深夜、部屋を薄暗くしてスピーカーで低音を体で感じるのが本来の聴き方に一番近い。ヘッドホンだとゲンブリの体を揺らす振動が伝わりにくい。
代表アーティスト
- Maâlem Mahmoud Guinia
- Nass El Ghiwane
- Hamid El Kasri
もっと見る(あと2件)
- Hassan Hakmoun
- Nass Marrakech
代表曲
- Hamid El Kasri — Baba Mimoun (2004)
- Nass Marrakech — Bouderbala (1999)
- Nass Marrakech — Sabil'a Salam (2004)
もっと見る(あと5件)
- Hamid El Kasri — Sadati Rijal Allah (2008)
- Nass El Ghiwane — Ya Sah (1974)
- Maâlem Mahmoud Guinia — Allah Ya Moulana (1990)
- Maâlem Mahmoud Guinia — Mimoun Marhaba (1995)
- Nass El Ghiwane — Bouderbala (1973)
生まれた背景
日本との関係
日本でのgnawa認知は1990年代のワールド・ミュージック・ブームで始まった。エッサウィラ・グナオワ・フェスティバル(1998年開始)は日本の音楽ジャーナリスト・研究者の間で早くから注目され、菊地成孔、大友良英らが現地取材やアルバム解説で紹介してきた。国内では在日モロッコ人コミュニティ(数百人規模)によるgnawa儀礼の小規模な演奏が東京・大阪で稀に行われるが、公開演奏は限定的だ。Randy Weston(米ジャズ・ピアニスト、1926-2018)がgnawaと共演したアルバム群は日本のジャズ・ファンにも輸入されている。近年はgnawaのゲンブリの音を電子音楽/アンビエントに取り込む試みが日本のプロデューサーからも出ており、Mule Musiq系のレーベルが関連コンピレーションを出している。
豆知識
影響・派生で結ばれたジャンル
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感触が近い系譜も地域も違うのに、聴くと通じるジャンル
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