エレクトロニック

未来派音楽

Futurist Music

ミラノ / イタリア / 南欧 · 1910〜1925年

1910年代イタリアで興った未来派運動の音楽部門。機械音・騒音を肯定的に取り入れた最初期の試み。

どんな音か

未来派音楽は、20世紀初頭のイタリア未来派が、機械、都市、騒音を積極的に音楽へ入れようとした試み。美しい旋律より、エンジン、工場、群衆、爆発のような音を新しい時代の感覚として扱った。ルイジ・ルッソロの騒音楽器イントナルモーリは、音楽の素材を楽音から騒音へ広げる象徴になった。

生まれた背景

1910年代のイタリア未来派は、速度、機械、戦争、都市を賛美する過激な芸術運動だった。ルッソロは1913年に『騒音芸術』を発表し、従来のオーケストラではなく、近代都市のノイズを音楽化する必要を主張した。録音はほとんど残っていないが、思想として後のノイズ、電子音楽、サウンドアートへ影響した。

聴きどころ

旋律や和声の完成度より、何を音楽と見なすかの転換を聴く。再現録音では機械的なうなりや轟音が中心になる。ヴァレーズの「イオニザシオン」を聴くと、打楽器だけで音響の建築を作る発想が未来派以後の耳に近いことが分かる。

発展

ルッソロ「騒音の芸術」(1913)の宣言、1914年のミラノ・コンサートでイントナルモーリが演奏され騒動となった。プラテッラ、フランチェスコ・バリッラ・プラテッラの作品も書かれたが、第一次世界大戦と戦後ファシズムへの傾斜で運動は衰退した。

出来事

  • 1909: マリネッティ「未来派宣言」
  • 1913: ルッソロ「騒音の芸術」
  • 1914: ミラノ、イントナルモーリ・コンサート
  • 1931: ヴァレーズ「イオニザシオン」(騒音文化の継承)

派生・影響

ヴァレーズ「イオニザシオン」(1931)、ミュジーク・コンクレート、20世紀後半のノイズ音楽、ジャパノイズに至る騒音受容の歴史的出発点となった。

音楽的特徴

楽器イントナルモーリ、騒音発生装置

リズム騒音、機械音響、非楽音的素材

代表アーティスト

  • ルイジ・ルッソロイタリア · 1909年〜1947
  • エドガー・ヴァレーズフランス/米国 · 1920年〜1965

代表曲

日本との関係

日本では音楽史、美術史、ノイズ音楽の前史として語られることが多い。直接のレパートリーは少ないが、都市騒音を芸術化する発想は、日本のノイズ、メディアアート、実験音楽を考えるうえでも重要だ。未来派の政治性には注意しつつ、音の拡張として聴きたい。

初めて聴くなら

歴史的な再現として「Risveglio di una città — ルイジ・ルッソロ (1913)」に触れたい。思想を読むなら「L'arte dei Rumori — ルイジ・ルッソロ (1913)」が背景になる。音楽作品としての迫力を聴くなら「イオニザシオン — エドガー・ヴァレーズ (1931)」が入りやすい。

豆知識

未来派音楽は、残された録音よりマニフェストの影響が大きい。騒音を音楽の外に追い出さず、近代生活そのものの音として受け入れた点で、20世紀音楽の聴く範囲を広げた。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1910年代1940年代未来派音楽未来派音楽ミュジーク・コンクレートミュジーク・コンクレート凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
未来派音楽を中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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