フィールド・レコーディング音楽
現実音響を録音し作品として提示する実践。Phonographyとも。
どんな音か
フィールド・レコーディング音楽は、森、都市、海、動物、機械、人の声など、現実の音を録音して作品として提示する実践。楽器で演奏する代わりに、マイクの位置、時間帯、場所の選び方が作曲に近い役割を持つ。Chris Watsonの録音では自然環境が立体的に現れ、Francisco Lópezでは音源が抽象化され、場所が耳の中で変形する。
生まれた背景
録音機材の小型化とともに、1970年代以降、音楽、音響生態学、サウンドアート、ドキュメンタリーの間で広がった。鳥の声を記録する自然録音から、都市の騒音を作品化する実験まで幅広い。録音された現実をそのまま聴かせるのか、編集で新しい構成にするのかで作品の性格が変わる。
聴きどころ
何が鳴っているかを当てるだけでなく、距離と空間を聴く。近くの虫、遠くの車、風で揺れる木、録音者の動きが一つの場を作る。ヘッドホンで聴くと、マイクがどこに置かれていたか、音がどの方向から来るかが分かりやすい。
発展
Cronica、Gruenrekorder、and/OARなどのレーベルがシーン化。2000年代以降、ギャラリーや音響インスタレーションへも拡張した。
出来事
- 1977: Schafer『The Tuning of the World』 / 2003: Chris Watson『Weather Report』
派生・影響
Ambient、Sound Art、Lowercase、Drone。
音楽的特徴
楽器フィールドレコーダー、ハイドロフォン、コンタクトマイク
リズム現実音響時間、編集による構造化
代表アーティスト
- Chris Watson
- Francisco López
代表曲
- La Selva — Francisco López (1998)
Stepping into the Dark — Chris Watson (1996)
Outside the Circle of Fire — Chris Watson (1998)
Outside the Circle of Fire (B side) — Chris Watson (1998)
Weather Report — Chris Watson (2003)
日本との関係
日本では環境音楽、サウンドスケープ研究、ASMR、自然録音の文脈で受け入れられている。都市の駅音、祭り、里山、雨音を録る作家も多い。音楽作品としてだけでなく、消えゆく環境や地域の記録としても意味を持つ。
初めて聴くなら
入口は「Weather Report — Chris Watson (2003)」。自然の時間が組曲のように聴こえる。熱帯雨林の濃密な録音として「La Selva — Francisco López (1998)」。より暗く没入的に聴くなら「Stepping into the Dark — Chris Watson (1996)」もよい。
豆知識
フィールド・レコーディングでは、録音者が何を聴くかを選んだ時点で作品が始まっている。現実の音だから客観的というわけではなく、マイクの向きや編集によって世界の見え方が変わる。
同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル
- ロック・メタルテクニカル・デスメタル
- ロック・メタルポストロック
- ジャズニュー・ジャズ
- エレクトロニックマイクロサウンド
