伝統・民族

デモティコ

Dimotiko

ギリシャ / 南欧 · 1500年〜

別名: Greek Folk

ギリシャ各地の伝統民俗音楽。

どんな音か

ギリシャ各地の民俗音楽をまとめた呼称。テサリア地方の『ハサポサーヴ』(素早い二拍子)、ペロポネソス地方の『スィルタキ』(親戚同士が手を繋いで踊るダンス伴奏曲)、イオニア諸島の『カンタダ』(愛と死をテーマにした歌)……各地域で装飾音、モード、言語の特性が全く異なる。通底するのは『田舎の喜びと悲しみを身体で表現する』という姿勢だけである。

生まれた背景

ギリシャの民俗音楽は、オスマン帝国支配下(約400年)とその後の独立戦争を経て、ナショナル・アイデンティティの象徴となった。19世紀後半の民族音楽採集運動によって、各地の伝統が『公式化』され、20世紀初頭には演奏会ホールの舞台で『デモティコ』として統一的に扱われるようになった。ドムナ・サミウのような民族音楽家は、この『統一と差異』の間で綱渡りをしている。

聴きどころ

地域ごとの音律の違いに注目すると、『ギリシャ民族音楽という統一体は実は幻想に過ぎない』ことに気づく。ただし、その『地域性の強さ』そのものが、ギリシャ文化の本質を表現している。歌詞と旋律の『一致』も重要で、恋愛の喜びを歌う時と死別の悲しみを歌う時で、同じ民俗旋律が全く異なる『表情』を持つ。

発展

1953年Domna Samiouが体系的採集。1960年代Mikis TheodorakisやManos Hadjidakis等作曲家がアレンジした。レンベティコの台頭後も村落で生演奏が継承される。

出来事

  • 1850s: Nikolaos Politis採集
  • 1953: Domna Samiou体系化
  • 1960s: Theodorakis編曲普及

派生・影響

Rebétikoの旋律基盤の一つ。Skiladiko都市Folkにも影響。

音楽的特徴

楽器クラリーノ、ヴァイオリン、ラウト、デフィ、ツァブナ

リズムTsamiko(3/4)、Kalamatiano(7/8)、Hasapiko(2/4)

代表アーティスト

  • Domna Samiouギリシャ · 1953年〜2012

代表曲

日本との関係

1970年代のシャンティ・ブルー運動(世界民族音楽への関心)の波に乗って、ギリシャ民俗音楽も日本で一部知られるようになった。特に映画『ギリシャに消えた手紙』(1970年代)の主題歌を機に、『珍しいヨーロッパ民俗音楽』として認識された。ただし、現代ではほぼ存在感を失っている。

初めて聴くなら

ドムナ・サミウの『Tha Spaso Koupes』(1976)。ペロポネソスの恋愛歌で、女性の声の『したたかさ』と『脆さ』が同時に聞こえる。初夏の日中、地中海的な陽光のなかで聴くことを推奨。

豆知識

デモティコ』という呼称は、古代ギリシャの『民衆的な(demotiko)』という意味が語源。オスマン支配下で『正統なギリシャ文化』を定義する必要が生まれた時代に、この語が学術的に使われるようになった。つまり、政治的必要性が『ジャンル化』を促した。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1500年代1600年代1900年代デモティコデモティコクレタ・リラ音楽クレタ・リラ音楽レベティコレベティコ凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
デモティコを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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