アルバニア・イソ多声合唱
アルバニア南部の伝統的多声合唱。
どんな音か
アルバニア・イソ多声合唱は複数の声(通常は5声以上)が同時に異なるラインを歌う。イソ(iso)は『基礎となる音』を意味し、最低音の声が長く保ち、その上に他の声が装飾的に動く。このドローン的な構造は、古い倍音楽器の響きに由来するとも言われる。全体としては瞑想的で、時間の流れが遅く感じられる。和声は現代的な調性とは異なり、非常に古い音響体系を保有している。
生まれた背景
アルバニア南部の民俗合唱伝統で、起源は古代ギリシャやビザンティン音楽にまで遡ると言われる。オスマン帝国の長期支配とその後のユーゴスラビアへの統合を経ても、この伝統は比較的保存されてきた。1980年代のユーゴスラビア民族紛争の時代に、イソ多声合唱は民族文化のシンボルとして再評価され、国際的な注目を集めるようになった。
聴きどころ
最低音のドローンがいかに安定して保たれるか。その上で動く他の声がどのようなリズムと装飾を持つか。複数の声の不協和音が、実は古い音響体系の表現であることの認識。全体の響きが持つ瞑想的性質。
発展
1968年Gjirokastra Folk Festivalが伝統保存の柱に。2005年ユネスコ無形文化遺産登録。Saz'iso、Lela of Përmetなどの団体が国際的に活動。
出来事
- 1968: Gjirokastra Folk Festival開始
- 2005: ユネスコ無形文化遺産登録
派生・影響
ジョージア多声合唱、コルシカParghjellaと地中海多声合唱として連帯。
音楽的特徴
楽器声(無伴奏)
リズムドローン低音(Iso)上に2〜3声の独立旋律
代表アーティスト
- Saz'iso
代表曲
Edhe Një Herë — Saz'iso (2017)
日本との関係
アルバニア・イソ多声合唱は日本ではほぼ知られていない。バルカン地域の民俗音楽への関心も薄く、アルバニアという国自体が日本ではニュース文脈以外で言及されることが少ない。
初めて聴くなら
『Edhe Një Herë』Saz'iso(2017年)。Saz'isoはアルバニア・イソ多声合唱の保存・復興を担う主要グループ。この曲は伝統的な構造を保ちながら、より現代的に録音されている。瞑想的な環境で、耳を閉じて心を開いて聴くことを推奨。
豆知識
Saz'isoという名前は『一緒に歌う』というアルバニア語に由来する。アルバニア・イソ多声合唱はユネスコ無形文化遺産に登録されており、保護対象になっている。現在、若い世代への伝承が課題になっており、ワークショップなどを通じた教育が行われている。
