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2026年4月19日

K-Popの第4世代と「コンセプト」の進化

世界観を作る競争から、「引用される側」になる競争へ

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3行まとめ

  1. K-Popの「世代」は、だいたい5年ごとにアイドルの作り方そのものが変わるという業界の地図だ。
  2. 第4世代のNewJeans、IVE、LE SSERAFIMは、Y2K、90年代R&B、アニメ的世界観を隠さず引用してコンセプトにした。
  3. 彼女たちの勝負は、過去をうまく参照することから、次の世代に参照される存在になることへ移っている。

ポップヒップホップ・R&B

K-Pop の「世代」とは

成功とは、いつか誰かに真似される側へ回ることだ。K-Pop の第4世代は、史上もっとも速くその側へ回ろうとしている。数年後にデビューする後輩が「これが私たちにとってのNewJeans枠だ」と言えば一発で通じる――そんな存在になることを、最初から狙っている世代である。まずは、彼女たちが立つ「世代」という土俵から見ていきたい。

K-Pop の世代は、誰かが公式に決めたわけではない。それでも業界もファンも、約5年ごとの区切りに暗黙のうちに合意している。新しい世代の韓国アイドル・グループが現れるたび、それまでとは明確に違うフォーマットを持ち込む、というのがその暗黙のルールだ。

第1世代(1996年ごろ〜)は、H.O.T や S.E.S がアイドルの型を作った時代。第2世代(2003年〜)のテーマは「輸出」だ。その先駆けが2000年デビューの BoA で、まず日本市場をこじ開けた。続いて TVXQ、SuperJunior、少女時代らがアジア各国へ渡る。第3世代(EXO の2012年あたりから)は、その輸出が欧米まで届いた時代。BTS を象徴格に、BLACKPINK や TWICE が国境を越えた人気を得た。そして2020〜2022年に相次いでデビューしたのが、フォーマットを最も大胆に壊した NewJeans を筆頭とする第4世代だ(IVE、LE SSERAFIM、aespa ら。2019年デビューの ITZY を境界例として含める見方もある)。

第3世代までの「コンセプト」

第2世代から第3世代にかけて、K-Pop は「コンセプト」(色、衣装、世界観の統一) をアルバム単位で構築してきた。BLACKPINK は力強く高級感のある女性像を、BTS は何枚ものアルバムをまたいで映画のような物語を、TWICE は明るく愛らしい少女像を打ち出してきた。いずれも一つの「世界観」を縦に深く掘り下げる仕事で、ファンもその深度に報いた。

下のトラックは BLACKPINK の代表曲『DDU-DU DDU-DU』(2018)。第3世代を象徴する強さと洗練であり、その手法を3分に凝縮した一曲だ。

第4世代は「リファレンス」を引用する

第4世代の特徴は、コンセプトを「リファレンス(=何を参考にしたか)」として扱うことだ。何を下敷きにしているかを隠さず、むしろ見せる。どこから借りてきたかを当てる楽しみ自体が、作品の魅力になる。

NewJeans が引くのは、プロデューサー250とディレクター・ミン・ヒジン(ADOR)のもとで作り込んだ90年代の米R&B(Aaliyah や Destiny's Child)と、2000年代初頭に流行したY2Kテイストのティーン映画的なビジュアルだ。本人・制作側もこの引用元を公言している。IVE は同じY2Kの感覚を、Z世代らしい「自分を肯定する」気分に重ねて引用する。

aespa が舞台にするのは仮想空間(メタバース)の世界観だ。これは「公言された引用」とは別軸で、コンセプトそのものが借り物の世界を生きるという発想に立つ。自然とテクノロジーを重ねる作風や、仮想メンバー「æ-」を介したアバター文化は、ファンや批評の場でビョーク、グライムス、日本のSFアニメと比較されることがある(ただし NewJeans のように制作側が明言したものではなく、聴き手が読み取った引用だ)。LE SSERAFIM は90年代後半から2000年代のR&Bを土台にし、批評の場では当時の米音楽番組(MTVの『TRL』)が作った空気との近さも指摘される(制作側の明言ではない)。

コンセプトはもう「自分たちの世界」ではなく、「他からどう引用するか」になった。第4世代が「あれを超える」「あれを借りる」と言うときの「あれ」を、まず聴いてほしい。下のトラックは BTS『Spring Day』(2017)。第3世代が世界規模に達した瞬間であり、第4世代は、この規模感そのものを最初から目指すべきゴールとして出発した。

「自分が引用される側になる」

BTSと BLACKPINK が世界的な成功をつかんだあと、第4世代がやっているのは「自らが引用される側になる」ことだ。次の世代に引かれることまで見越して、曲や見せ方を作り込んでいる。数年後にデビューする後輩が「これが私たちにとってのNewJeans枠だ」と言えば一発で通じる――それくらい鮮烈な音と見せ方を狙う。

下のトラックは NewJeans の『Hype Boy』(2022)。第4世代が引用元を堂々と見せた「引用する側」の音だ。第3世代の『DDU-DU DDU-DU』や『Spring Day』が「引用される頂点」だとすれば、こちらは引用する側がたどり着いた最初の地点である。

2026年現在、第5世代と呼ばれ始めた BABYMONSTER、Kiss of Life、ILLIT らが既に動いている。彼女たちが引用する「引用元」には、第4世代そのものが含まれている。第4世代は、引用された「最初の世代」になるかもしれない。自分が後輩から引用される――つまり成功が証明されるのが、これほど早く返ってきた世代は、かつてなかった。

作者のひとこと

NewJeansの『Ditto』とBLACKPINKの『DDU-DU DDU-DU』を続けて聴くと、第3世代と第4世代のコンセプトの違いがかなり体感しやすいです。

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