ラカラカ
トンガ王国の国民的舞踊歌で、男女が交互に舞台に立ち、見事に統一された動きと多層的なコーラス・ハーモニーを展開する。
どんな音か
トンガン・ラカラカの音は、大洋州特有の『開放的な合唱』である。男性グループと女性グループが交互に歌い、その際の身体の動きが極めて重要である。音楽自体は比較的シンプルな長調のメロディーで、ハーモニーも西洋的な3度和音が中心。テンポはモデレート(BPM90〜110)で、緩急がつけられることは少なく、一貫した『行進的』な進行が保たれる。衣装は白を基調とした伝統的なタパ布で統一され、動きが完全に同期している。音量は非常に大きく、海を渡る声と称されるほどの投射力を持つ。
生まれた背景
ラカラカはトンガ王国の国民的文化遺産で、少なくとも19世紀には現在の形に近い舞踊が存在していたとされている。トンガ王族の公式行事や国家的祝日では必ず演奏され、国民統一のシンボルとして機能してきた。20世紀には国連や国際文化交流の場でも頻繁に披露され、オセアニアの『典型的な』舞踊として国際的に定着した。現在はユネスコ無形文化遺産として保護されている。
聴きどころ
男女の音域差による『奥行き感』。多層的なハーモニー(複数の女性グループが異なるパートを歌う場合)。身体の踏み込み音(音声ではない)がリズムトラックとなる瞬間。歌唱の『投射力』がいかに建物の天井や屋外の空間に反響するか。
発展
20世紀にはトンガ王室の文化政策で標準的な王室芸術として位置づけられ、各村が独自のラカラカを保持する。詩人プナケ(ラカラカ作詞家)が新作を作り続け、王室慶事のたびに更新される。
出来事
- 19世紀後半: トゥポウ1世期にラカラカ大成。
- 1970年: トンガ王国独立。
- 1990年代: 王室慶事での新作ラカラカ制作。
- 2003年: ユネスコ「人類の口承及び無形遺産の傑作」宣言。
- 2008年: ユネスコ無形文化遺産代表一覧表に統合登録。
派生・影響
トンガ王国の国家アイデンティティの中核、ポリネシア合唱舞踊群との比較対象、サモア・フィジー・タヒチ等の祝典芸術との連続性。
音楽的特徴
楽器声(イクライキ4声合唱)、パテ(スリットドラム)、ナファ(両面太鼓)
リズムイクライキ多声合唱、男女別舞踊の同時進行、王室祝典詞章
代表曲
- Lakalaka of Tonga (1995)
日本との関係
初めて聴くなら
『Lakalaka of Tonga』(トンガのラカラカ)。映像と音の同期が重要なため、YouTubeなどの動画サイトで『full performance』版を視聴することを勧める。音だけの場合は、男女の掛け合いと身体の踏み込み音の『リズム的関係』に注目する。
