伝統・民族

サルダーナ

Sardana

カタルーニャ / スペイン / 西ヨーロッパ · 1850年〜

カタルーニャの円舞音楽。

どんな音か

サルダーナは円形の隊列で踊られる舞踊で、その音楽はテンポがはっきりしていて、リズムは一貫性が強い。木製の楽器が中心で、トランペット、トロンボーン、クラリネットなどの吹奏楽器が前面に出る。リズムは3/4または2/4の単純な拍子だが、各セクションの楽器が異なるリズムパターンを繰り返すため、全体では複雑な層構造が生まれる。音色は相当に響き渡り、街の広場での屋外演奏を想定した音量と明るさが確保されている。

生まれた背景

サルダーナはカタルーニャの民族舞踊として、少なくとも19世紀には確立されていた。円形の隊列で踊られることは、カタルーニャ・コミュニティの一体性と平等性を象徴している。スペイン内戦やフランコ独裁下での文化的抑圧を経て、民主化後にはカタルーニャ民族主義の文化的象徴として位置づけられた。現在、サルダーナは年間を通じて、カタルーニャの多くの広場で踊られており、祭りだけでなく日常の社交活動の一部になっている。

聴きどころ

各楽器がどのようにリズムを分担しているかを聴き分けること。金管楽器の音量の中で、木管楽器の細かいメロディ・ラインがどのように生き残るかも注目。円形の隊列での踊りを想像しながら聴くと、音楽の空間性が理解できる。

発展

1923年バルセロナ大聖堂前広場で恒例催事化。1976年民主化以降に大規模な国民的祭典へ。今日も日曜日のカタルーニャ各地広場で踊られる。

出来事

  • 1850s: Pep VenturaがCobla編成確立
  • 1923: バルセロナ大聖堂Sardana開始
  • 1939: フランコ政権下で抑圧
  • 2010: カタルーニャ国民舞踏指定

派生・影響

カタルーニャNova Cançóの民族的基盤。

音楽的特徴

楽器コブラ(ティブル、テナー、フルビオル等管楽器11)

リズム短部・長部の交替、6/8と2/4が交差する綿密な歩数構造

代表アーティスト

  • Pep Venturaスペイン · 1843年〜1875

代表曲

日本との関係

サルダーナはカタルーニャ文化への関心を持つ人以外は、ほぼ認知されていない。スペイン音楽全般への学術的関心から、時折言及されるが、日本のリスナーの耳に届く機会は非常に限定されている。

初めて聴くなら

Pep Ventura『La Santa Espina』(1907年)。この歴史的な録音は、サルダーナの初期の形式を記録したもので、楽器の響きと音量の関係が明確に聴き取れる。日中、活動的な時間帯に聴くのが合っている。

豆知識

サルダーナの円形隊列は、カタルーニャ民族主義と深く結びついており、フランコ独裁時代には禁止されていた。民主化後、この踊りは『民族の自由と連帯の表現』として再び街に戻ってきた。現在、サルダーナは政治的な意味を超えて、単なる娯楽としても楽しまれているが、その歴史的背景は音楽の中に刻み込まれている。

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