クアンホー
ベトナム北部紅河デルタ地方の伝統音楽で、男女の歌唱グループが交互に歌詞を交わす対唱形式。ユネスコ無形文化遺産。
どんな音か
生まれた背景
聴きどころ
男女の声域の違いがもたらす『空間感』。低い男声と高い女声の間の周波数ギャップ。各グループ内での『ユニゾンのズレ』がいかに意図的か。歌詞の『問い』と『応答』の構造が、どう音楽のフレーズに対応しているか。
発展
20世紀には都市公演化が進み、バクニン省民俗芸術団が舞台化を担った。2009年のユネスコ無形文化遺産登録が決定打となり、世代間の継承活動が活発化した。
出来事
- 11世紀: 紅河デルタでの起源(伝)。
- 1954年: 北ベトナム文化政策での保存。
- 1996年: バクニン省民俗芸術団全国公演。
- 2009年: ユネスコ無形文化遺産代表一覧表に登録。
- 2018年: クアンホー国際フェスティバル。
派生・影響
ベトナム北部民謡全般の旋律的源泉、現代ベトナム合唱曲の素材、ホー・ザイン作品など現代音楽家のインスピレーションとなる。
音楽的特徴
楽器声(無伴奏が伝統、舞台では民族楽器伴奏)
リズム男女対歌の応答、自由律の伸びやかな旋律、北部方言詞章
代表曲
- Quan Họ Bắc Ninh (1990)
日本との関係
初めて聴くなら
豆知識
クアンホーの対唱は、男女の婚約前の儀式的な『こぎ合い』としても機能していた。歌詞の『問い』が相手女性への求婚を意味する場合があり、音楽が社会的契約の役割も担っていた。2009年にユネスコ無形文化遺産に登録されたことで、国際的な認知度は向上したものの、高齢化に伴う後継者不足が深刻な課題となっている。
