ペルシア古典(ダストガー体系)
イラン高原で千年以上の体系化を経た古典音楽で、12のダストガーと500以上のグーシェ(旋律パターン)からなるラディーフ体系を持つ。
まずはここから
ひとことで言うとイラン高原で千年以上の体系化を経た古典音楽で、12のダストガーと500以上のグーシェ(旋律パターン)からなるラディーフ体系を持つ。
まずはこの曲からMohammad Reza Shajarian — Bidad ▶ YouTube
代表的な人モルテザー・マハジュビー (Morteza Mahjoubi)
どんな音か
「ラディーフ(ペルシア古典(ダストガー体系))」と呼ばれる500以上の旋律パターン(グーシェ)の体系を演奏者が記憶し、即興の文脈で引き出して音楽を組み立てる。12のダストガー(旋法体系)があり、それぞれに固有の音程構造と感情的な含意がある——ダストガー・シュールは哀愁、マホウルは瞑想的な静けさ、というように。使われる楽器はタール(長頚リュート)、セタール(4弦リュート)、サントゥール(ハンマーダルシマー)、カマンチェ(スパイク・フィドル)など。声楽ではタジウィードに似た装飾技法と「タフリール(声を震わせる細かい技)」が重要で、Mohammad Reza Shajarian(シャジャリアン)の声はペルシア声楽の頂点とされる。
聴きどころ
Shajarianの「Bidad」(1985)では、声が単音から始まり装飾音(タフリール)を加えながら旋律を展開する——この装飾が「音符の間を埋める」のではなく、声そのものが形を変えていく感覚に耳を慣らしてほしい。Kayhan Kalhorの「Night Silence Desert」(2000)では、カマンチェの弓で引く弦の音が長く持続し、倍音が部屋に漂う——この「音の余韻の扱い」が西洋古典音楽とは根本的に異なる。
初めて聴くなら
Shahram Nazeriの「Through Eternity」(2007)は現代的な録音で音質がよく、声の装飾技法と楽器のからみ方が聴きやすい。次にKayhan Kalhorの「Night Silence Desert」でカマンチェだけに集中し、弦楽器とも打楽器とも違う音の輪郭を楽しむ。夜、照明を落とした環境が最も音楽の質感を受け取りやすい。
代表アーティスト
- モルテザー・マハジュビー (Morteza Mahjoubi)
- ルーホッラー・ハーレギー (Ruhollah Khaleghi)
- ガラームホセイン・バナーン (Gholam-Hossein Banan)
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- ヴィーゲン (Vigen Derderian)
- ダーヴード・ピールニヤー (Davoud Pirnia)
- Mohammad Reza Shajarian
- Shahram Nazeri
- Kayhan Kalhor
- アリレザ・ゴルバニー (Alireza Ghorbani)
- ホマーユーン・シャジャリアーン (Homayoun Shajarian)
代表曲
- Mohammad Reza Shajarian — Bidad (1985)
- Kayhan Kalhor — Night Silence Desert (2000)
- Shahram Nazeri — Through Eternity (2007)
生まれた背景
イランの古典音楽は10〜15世紀のイスラム黄金時代に理論的基盤が形成され、サーファウィー朝(1501〜1736年)のもとで宮廷庇護を受けた。19世紀後半のカージャール朝時代に「ラディーフ」として系統的に整理・記録され始め、現代に伝わる体系が確立した。
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1979年のイスラム革命後は音楽への規制が厳しくなり、パブリックな演奏が制限された——Shajarian自身も一時期演奏を中断せざるをえなかった。それでも録音とカセット流通を通じて音楽は生き延び、現在は一定の制約のもとで演奏会が行われている。
音楽的特徴の詳細
楽器タール、セタール、サントゥール、ネイ、ケマンチェ、ザルブ、声
リズム12ダストガー、ラディーフ即興、アヴァーズ自由律
発展
20世紀のモハンマド・レザ・シャジャリヤン、シャフラム・ナゼリ、フセイン・アリザデ、カイハーン・カルホール(カマンチェ)らが世界的名声を得た。革命後の女性歌手公衆出演禁止に対し、女性シンガーは私的場や海外録音で抵抗してきた。
出来事
- 1850: カジャール宮廷でラディーフ体系化
- 1934: テヘラン音楽院設立
- 1979: イラン革命後の規制
- 2009: ラディーフがユネスコ無形文化遺産登録
派生・影響
アラブ・マカーム、トルコ・マカーム、アゼルバイジャン・ムガーム、現代世界音楽と交差。
日本との関係
豆知識
ペルシア古典音楽のラディーフ体系は2009年にユネスコの無形文化遺産に登録された。ただしイラン政府と国際社会の政治的な緊張が続く中、登録の意味をどう解釈するかについては複雑な議論がある。
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また多くのイランの一流音楽家が革命後に海外に移住しており、現在のペルシア古典音楽の「中心」はテヘランだけでなくロサンゼルス、パリ、トロントにも分散している。
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