古典

ノクターン

Nocturne

西ヨーロッパ · 1810〜1900年

別名: 夜想曲

夜の情景や瞑想を歌う性格的小品。ジョン・フィールドが創始し、ショパンが芸術的頂点に押し上げた。

どんな音か

ノクターンは、夜の情景や静かな瞑想を思わせる性格的小品。ジョン・フィールドがピアノ曲として形を整え、ショパンが詩的で深いジャンルへ高めた。左手の分散和音に右手の歌う旋律が乗ることが多く、声楽的な息づかいとピアノの響きが結びつく。ノクターンという日本語名も雰囲気をよく伝えている。

生まれた背景

19世紀初頭、サロンで演奏されるピアノ小品として人気を得た。フィールドの優美な様式を受け、ショパンは和声の陰影、装飾、劇的な中間部を加え、ノクターンを単なる甘い夜の音楽から内面的な独白へ広げた。ロマン派のピアノ文化、家庭演奏、出版市場と深く関係している。

聴きどころ

右手の旋律を歌として聴き、左手の伴奏が作る揺れに身を置く。テンポを揺らすルバート、装飾音の入れ方、和声がふっと暗くなる瞬間が重要である。静かな曲でも、中間部で感情が大きく波立つことがある。音数が少ないため、演奏者のタッチや間の違いが非常に目立つ。

発展

ショパン21曲のノクターン(特に作品9-2、作品27、作品48)が古典型を完成させ、フォーレ13曲、リスト「愛の夢」、スクリャービン「2つのノクターン」 作品5、ドビュッシー「夜想曲」(管弦楽版)など、楽器・編成を超えて発展した。

出来事

  • 1814: ジョン・フィールド「3つのノクターン」出版
  • 1832: ショパン「2つのノクターン」 作品9
  • 1841: ショパン「2つのノクターン」 作品48
  • 1899: ドビュッシー「夜想曲」(管弦楽)作曲

派生・影響

ロマン派性格小品全般、印象派の夢想的ピアノ書法、20世紀の夜想曲(バーバーら)に影響を残した。

音楽的特徴

楽器ピアノ独奏、管弦楽

リズム緩徐、三部形式、装飾的旋律

代表アーティスト

  • フレデリック・ショパンポーランド/フランス · 1828年〜1849

代表曲

日本との関係

日本ではピアノ学習者とクラシック愛好家に広く親しまれている。とくにショパンの「夜想曲第2番」はテレビ、映画、発表会でもよく耳にする。甘美な癒やしの曲として消費されがちだが、作品48-1のように悲劇的で大きな構造を持つ曲もあり、日本の聴衆にも再発見の余地がある。

初めて聴くなら

入口は「夜想曲第2番 変ホ長調 作品9-2 — フレデリック・ショパン (1832)」。旋律美と装飾の分かりやすさがある。より深い陰影を聴くなら「夜想曲第8番 変ニ長調 作品27-2」、劇的な起伏を知るなら「夜想曲第13番 ハ短調 作品48-1」がよい。

豆知識

ノクターンは夜を描く音楽だが、必ずしも静かな月明かりだけではない。ロマン派にとって夜は、夢、孤独、不安、告白が現れる時間でもあった。ショパンのノクターンが時に激しくなるのは、その夜の内側に心理劇があるからである。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1810年代1820年代ノクターンノクターン性格的小品性格的小品凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
ノクターンを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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