マリンバ・グアテマルテカ
グアテマラ国民楽器マリンバ(木琴)を中心とした、先住民マヤ系・スペイン系・アフロ系が交差する古典・大衆ジャンル。
どんな音か
複数のマリンバ(鍵盤木琴)が異なるレジスター(音域)で層をなす。高いマリンバが前面のメロディを奏で、低いマリンバが和声を支える。全体の音色は金属的ではなく、木材が共鳴する温かみのある音。スペイン系のロマンティックなメロディと、先住民系のリズムの複合。小太鼓や大太鼓が時折ポイントを打つ。
生まれた背景
16世紀のスペイン植民地化がグアテマラにもたらした弦楽器の伝統と、マヤ系先住民のドラム・リズム文化、17世紀以降のアフロ系の混入が、何世紀もかかって融合したもの。18世紀から19世紀にかけてグアテマラの上流階級の音楽として洗練され、同時に農村部でも改変されながら継承された。
聴きどころ
複数マリンバの音が重なる瞬間、どの層がどの周波数帯を占めているかを識別すること。高域メロディに埋もれず、中低域の和声がどう支えているのかを感じると、多声的な構造が見える。また、ドラムやパーカッションが『装飾』ではなく『構造を規定する』役割を持っているため、リズム軸から全体を再構築すると、曲の重心が分かる。
発展
20世紀のフランシスコ・ペレス・ムニョ、マリンバ・チャピンランディアが代表的演奏団体となり、現代ジャズ・ロックとの融合や、メキシコ・チアパス州のマリンバ伝統との交流も進む。
出来事
- 1500: マリンバ西アフリカから到来
- 1899: セバスチャン・ウルタード・ダブル・キーボード発明
- 1955: 国民楽器指定
- 2014: ユネスコ候補リスト
派生・影響
アフリカ系木琴、メキシコ・マリンバ、コスタリカ・マリンバ、現代ラテン・ジャズと交差。
音楽的特徴
楽器マリンバ・デ・テクラ・ドブレ、マリンバ・センシージャ、ドラム、ベース、ヴァイオリン
リズムワルツ3/4、ソン2/4、6/8、和声木琴アンサンブル
日本との関係
グアテマラ文化の象徴として認知されるが、日本でマリンバ・グアテマルテカを直接聴く環境は限定的。ワールドミュージック愛好層の間では知られ、民族楽器の演奏会で取り上げられることもあるが、音楽教育の中では中南米の民族音楽として周辺的な位置づけに留まっている。
初めて聴くなら
YouTubeなどで『Marimba Orquesta Guatemalteca』などのキーワードで動画を複数件視聴し、複数マリンバの音の絡みを頭に入れてから、音だけで聴くことを勧める。映像なしには、複数楽器が同時に鳴っているだけで全体像がつかみにくい可能性がある。
豆知識
1962年にグアテマラは正式にマリンバを国民楽器に指定した。グアテマラの各家庭にマリンバを所有する文化が根強く、地域のお祭りやパーティでは必ず登場する。日本のキーボード奏者がマリンバの奏法を学ぶためにグアテマラに渡ることもある。
