リート
ピアノ伴奏による独唱ドイツ歌曲。シューベルトに始まり、ロマン派音楽の中心的ジャンルとなる。
どんな音か
生まれた背景
19世紀初頭のオーストリアとドイツで、詩の朗読文化、家庭のピアノ、出版市場とともに発展した。シューベルトがゲーテなどの詩に膨大な歌曲を書き、シューマン、ブラームス、ヴォルフ、マーラーへ続いた。大劇場のオペラとは違い、部屋の中で言葉の陰影を聴く親密なジャンルとして育った。
聴きどころ
歌詞が分からなくても、ピアノの前奏を聴くと場面が見えることが多い。水の流れ、足取り、心臓の鼓動のような音型が先に出て、歌がそこへ入る。声は大きさより子音の鋭さ、母音の色、言葉の最後の処理が重要で、同じ曲でも歌手によって人物像が変わる。
発展
シューベルト600曲超のリート(「冬の旅」「美しき水車屋の娘」「白鳥の歌」)が古典型を示し、シューマン「詩人の恋」「リーダークライス」、ブラームス、ヴォルフ(後期ロマン派の頂点)、マーラー「子供の不思議な角笛」「亡き子をしのぶ歌」、R.シュトラウス「最後の四つの歌」が連続的に発展させた。
出来事
- 1814: シューベルト「糸を紡ぐグレートヒェン」 D.118
- 1827: シューベルト「冬の旅」 D.911
- 1840: シューマン「詩人の恋」 作品48
- 1948: R.シュトラウス「最後の四つの歌」
派生・影響
フランス・メロディ(フォーレ、デュパルク、ドビュッシー)、英国の歌曲(ヴォーン・ウィリアムズ、ブリテン)、20世紀の連作歌曲(シェーンベルク「月に憑かれたピエロ」)まで、世界中の独唱声楽伝統に決定的影響を与えた。
音楽的特徴
楽器独唱、ピアノ
リズム通作形式または有節形式、詩との一体化
代表アーティスト
- フランツ・シューベルト
- ローベルト・シューマン
- ヨハネス・ブラームス
- グスタフ・マーラー
- フーゴー・ヴォルフ
- リヒャルト・シュトラウス
代表曲
- 魔王 D. 328 — フランツ・シューベルト (1815)
- 冬の旅 D. 911 — フランツ・シューベルト (1827)
- 詩人の恋 作品48 — ローベルト・シューマン (1840)
- メーリケ歌曲集 — フーゴー・ヴォルフ (1888)
- 最後の四つの歌 — リヒャルト・シュトラウス (1948)
日本との関係
初めて聴くなら
物語の分かりやすさなら「魔王 D. 328 — フランツ・シューベルト (1815)」。歌曲集として深く入るなら「冬の旅 D. 911 — フランツ・シューベルト (1827)」。恋愛詩の繊細さを聴くなら「詩人の恋 作品48 — ローベルト・シューマン (1840)」がよい。
