リームル
アイスランドの叙事詩朗唱。
どんな音か
リームル(rímur、単数形ríma)は叙事詩を特定の旋律型(ウィス、vísur)に乗せて一人で朗唱する形式だ。楽器は使わない。声はファルセットではなく、ただ旋律に乗せて歌う——しかし「歌」よりは「語り」に近い感覚で、言葉の音節数と旋律の音数が厳密に対応する。アイスランド語の硬い子音の響きが連続し、頭韻(同じ音で始まる言葉が連続する詩の技法)が聴覚的なパターンを作る。Steindór Andersenは現代のリームル演奏者として最も知られており、「Ólafs ríma Grænlendings」(1996)はSigur Rósのメンバーとの共演盤に収録された録音で、伝統的な詠唱と現代的なドローン音楽が組み合わさっている。
生まれた背景
聴きどころ
Steindór Andersenのリームルは最初、旋律のパターンを追うのが難しいかもしれない。ポイントは「繰り返す旋律型(ウィス)」で、同じメロディ輪郭が異なる歌詞に繰り返し現れる——この反復構造が見えてくると、アイスランド語が分からなくても音楽の骨格が感じ取れる。「Ólafs ríma」でSigur Rósのドローンが加わる版を聴くと、伝統的な詠唱が現代の音楽語法とどう響き合うかが分かる。
発展
1929年Iðunn協会設立で記録・保存が進む。Sigur RósやÁrstíðirら現代音楽家が引用し再評価された。Steindór Andersenら継承奏者の録音が残る。
出来事
- 1390s: Ólafs rímur Tryggvasonar成立
- 1929: Iðunn協会設立
- 1996: Steindór Andersen記録音源
- 2002: Sigur Rós ámkvæðiコラボ
派生・影響
アイスランド現代Indie Folkの題材源。
音楽的特徴
楽器声(無伴奏)、ランゲライク類似弦
リズム頭韻・脚韻の厳格な韻律、自由拍朗唱
代表アーティスト
- Steindór Andersen
代表曲
Ólafs ríma Grænlendings — Steindór Andersen (1996)
日本との関係
初めて聴くなら
Steindór Andersenの「Ólafs ríma Grænlendings」(1996)を、Sigur Rósとの共演盤(『Hvarf/Heim』関連音源)で聴いてみるのが入口として最もとっかかりやすい。アイスランドの孤立した地理と長い冬夜のイメージを頭に置いて聴くと、リームルという形式が生まれた文脈が感じ取れる。
