マドリガーレ
16世紀イタリアで成立した、世俗詩を素材とする多声声楽曲。ルネサンスからバロック初期にかけて爆発的に流行した。
概要
原則無伴奏4〜6声で、ペトラルカ風の恋愛詩を緻密な対位法と「言葉絵画(マドリガリズム)」で描いた。後期マドリガーレではモンテヴェルディが半音階・不協和音・劇的表現を導入し、初期バロックの劇音楽の母体となった。
背景
ルネサンス期のイタリア宮廷では、ペトラルカ復興運動と文学サロンの隆盛が世俗詩への作曲熱を高めた。フランドル楽派の作曲家がイタリア宮廷に大量に雇用され、フランドル流対位法とイタリア的詩情が融合した。フェッラーラ、マントヴァ、ローマ、フィレンツェ各宮廷が競って詩人と作曲家を抱えた。
発展
アルカデルト、ヴェルドロらがマドリガーレ第一期を築き、16世紀末にはルッツァスキ、マレンツィオ、ジェズアルドが半音階表現を極限まで推し進めた。モンテヴェルディは「マドリガーレ集」第5巻(1605)で通奏低音を導入し、第8巻(1638)の戦争・愛のマドリガーレで劇的様式を確立した。イングランドではモーリーらが「英国マドリガル楽派」として独自に発展させた。
出来事
- 1530年頃: フィリップ・ヴェルドロ「マドリガーレ集第1巻」
- 1601: ジェズアルド「マドリガーレ第5巻」、極端な半音階
- 1605: モンテヴェルディ「マドリガーレ第5巻」、通奏低音導入
- 1638: モンテヴェルディ「戦争と愛のマドリガーレ」(第8巻)
派生・影響
通奏低音マドリガーレはオペラ初期の独唱モノディや劇的レチタティーヴォへ直結し、カンタータ、オペラの母体となった。20世紀の合唱作曲(ブリテン、リゲティ)も後期マドリガーレの劇的書法を参照する。
音楽的特徴
楽器4〜6声混声(ア・カペラ/通奏低音)
リズム言葉絵画、模倣対位法、半音階
代表アーティスト
- オルランド・ディ・ラッソ
- カルロ・ジェズアルド
- クラウディオ・モンテヴェルディ
代表曲
- Il bianco e dolce cigno (1539)YouTube で検索
- Solo e pensoso (1599)YouTube で検索
- Cruda Amarilli — クラウディオ・モンテヴェルディ (1605)YouTube で検索
- Moro, lasso, al mio duolo — カルロ・ジェズアルド (1611)YouTube で検索
- Lamento della Ninfa — クラウディオ・モンテヴェルディ (1638)YouTube で検索