雅楽
奈良・平安期に大陸から伝来した楽舞を母体とする、日本最古の宮廷音楽。
概要
管絃(器楽合奏)・舞楽(舞を伴う合奏)・歌物(声楽)に大別され、儀礼・宮中行事・神事に用いられる。1300年以上の連続した伝承を持ち、世界最古の現役オーケストラ音楽とも評される。笙・篳篥・龍笛などの管楽器と打楽器、絃楽器による独特の和声を特色とする。
背景
5〜9世紀にかけて中国・朝鮮半島・東南アジアから伝来した諸楽を、奈良時代の雅楽寮で整理・統合して成立した。9世紀の楽制改革により左方(唐楽)・右方(高麗楽)の体制が定まり、宮廷儀礼の中核に据えられた。寺社の法会や祭礼でも演奏され、神道・仏教両方の音響的儀礼空間を支えた。武家の時代にも縮小しつつ存続し、明治の宮内省楽部に引き継がれた。
発展
三方楽所(京都・奈良・天王寺)が中世以降の伝承の中心となり、流派ごとに装束・楽器・節回しが異なって伝わった。明治維新後に宮内省雅楽部に統合され、現在は宮内庁式部職楽部が中心に伝承する。20世紀後半には武満徹ら現代作曲家が雅楽編成のための新作を発表し、海外公演も活発化した。芝祐靖ら楽人が古楽復元と新作初演の双方に携わった。
出来事
- 8世紀: 雅楽寮の設置。
- 9世紀: 楽制改革で左方・右方の整備。
- 1870年: 宮内省雅楽局の設置。
- 1955年: 宮内庁式部職楽部が重要無形文化財に指定。
- 2009年: ユネスコ無形文化遺産代表一覧表に登録。
派生・影響
雅楽の旋法と編成は能・神楽・声明など多くの日本の伝統音楽に影響を与えた。管絃から舞楽、舞楽から能楽の所作・装束へと連なる流れもある。現代音楽では『秋庭歌一具』(武満徹)など、雅楽編成のための作品が国際的に演奏される。
音楽的特徴
楽器笙、篳篥、龍笛、神楽笛、高麗笛、楽箏、楽琵琶、鞨鼓、太鼓、鉦鼓
リズム序破急、自由リズムを含む緩やかな拍節、笙の合竹による持続和声
代表曲
- 越天楽 (800)YouTube で検索