管絃
雅楽のうち舞を伴わない器楽合奏形態。
概要
笙・篳篥・龍笛の三管に、楽箏・楽琵琶の二絃、鞨鼓・太鼓・鉦鼓の三鼓を加えた編成で演奏される雅楽の純器楽形式。『越天楽』に代表される唐楽系の楽曲が中心で、序・破・急の三段構成を持つ。
背景
平安期の宮廷で発達した雅楽の中で、舞を伴わずに楽そのものを鑑賞する形式として確立した。貴族の私邸や寺社でも演奏され、文人趣味の対象となった。三管・両絃・三鼓の標準編成は『仁智要録』『教訓抄』など中世の楽書に記録されている。
発展
三方楽所において代々伝承され、流派ごとに節回しや装飾に差異を生じた。明治以降は宮内省・宮内庁楽部が中心となり、海外公演や録音を通じて広く知られるようになった。雅楽研究家の小泉文夫らによる学術的整理も進んだ。
出来事
- 10世紀: 宮中『管絃の御遊』として定着。
- 12世紀: 『管絃音義』など楽書整備。
- 1870年: 宮内省雅楽局で正式編成として継承。
- 1955年: 重要無形文化財指定。
- 2009年: 雅楽としてユネスコ無形文化遺産登録。
派生・影響
舞楽との対比を成す形式として雅楽の二大柱を構成する。現代雅楽創作のベース編成としても用いられ、武満徹『秋庭歌』などが管絃編成を拡張している。
音楽的特徴
楽器笙、篳篥、龍笛、楽箏、楽琵琶、鞨鼓、太鼓、鉦鼓
リズム序破急、早只拍子・延只拍子、笙の合竹による持続和音