トゥムリー
ヒンドゥスターニー準古典声楽。恋愛と感情表現を主題とする。
概要
19世紀のラクナウ・ベナーレス宮廷で発展した準古典声楽。詞章は主にラーダーとクリシュナの恋愛を歌い、ラーガの規範より感情(バーヴァ)の表現を優先する。プールヴィー・カージリーなど特定のラーガが好んで用いられ、女性歌手の活躍で華やかに発展した。
背景
アワド王ワジド・アリー・シャー(1822–1887)の宮廷で大成され、彼自身も作曲家・歌手として知られた。ラクナウ派(柔和)とベナーレス派(力強い)の二系統が成立し、宮廷舞踊カタックと深く結びついた。
発展
20世紀には西ドゥルガーバーイー・パルワール・ガウハール・ジャーン・シッディーシュワリー・デーヴィー・ギリジャー・デーヴィー・ショーバー・グルトゥらの女性歌手が大成功を収めた。映画歌(ボリウッド)にもトゥムリー風が頻繁に取り入れられる。
出来事
- 1850年代: ワジド・アリー・シャー宮廷でのトゥムリー大成。
- 1902年: ガウハール・ジャーン世界初インド古典録音。
- 1965年: シッディーシュワリー・デーヴィーがパドマ・ブシャン受章。
- 1972年: 映画『パーキーザ』。
- 1998年: ギリジャー・デーヴィー死去で時代の終焉(2017年)。
派生・影響
ガザル・ホリー・カージリー・ダードラなどの準古典声楽との連続性を持ち、ボリウッド古典歌(『パーキーザ』『ウムラオ・ジャーン』)の基盤となった。
音楽的特徴
楽器声、ターンプラ、タブラ、ハルモニウム、サーランギー
リズムディープチャンディー(14拍)・ジャト(16拍)・ケヘルワー(8拍)、感情(バーヴァ)優先のラーガ展開
代表アーティスト
- ベーガム・アクタル
- ギリジャー・デーヴィー
- ショーバー・グルトゥ
代表曲
- Babul Mora — ギリジャー・デーヴィー (1980)YouTube で検索