弦楽四重奏曲
2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのための室内楽形式。古典派以降の作曲家にとって最高の知的様式とみなされる。
概要
ハイドンが作品20、33でジャンルを確立し、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトが個性的に発展させた。4声部の対等性と緻密な動機労作を特徴とし、作曲家の「思考の純度」が試される領域である。
背景
18世紀後半、貴族邸での室内演奏文化のなかで、弦楽合奏の縮小版として「四つの旋律楽器」の組み合わせが標準化された。エステルハージ侯爵家のお抱え楽長としてのハイドンが、形式の規範化と社会的地位を同時に確立した。市民音楽家組合での演奏実践がジャンルを社会的に拡げた。
発展
ハイドン作品33(1781)で「会話」のように対等な4声書法が完成、モーツァルトの「ハイドン四重奏曲」(K.387ほか)、ベートーヴェン後期(作品127〜135、特に大フーガ作品133)が哲学的領域に到達した。ロマン派ではシューベルト「死と乙女」、メンデルスゾーン、ブラームス、ドヴォルザーク、20世紀ではバルトーク6曲、ショスタコーヴィチ15曲、リゲティ、カーター、シュニトケが代表的サイクルを残した。
出来事
- 1781: ハイドン「弦楽四重奏曲集」作品33
- 1825: ベートーヴェン「弦楽四重奏曲第13番」(大フーガ含む)
- 1939: バルトーク「弦楽四重奏曲第6番」
- 1974: ショスタコーヴィチ「弦楽四重奏曲第15番」
派生・影響
弦楽五重奏、弦楽合奏曲、ピアノ五重奏など室内楽全般、20世紀の現代音楽サイクル(フェルドマン、ラッヘンマン)まで広く影響を残す。
音楽的特徴
楽器弦楽四重奏(2 vn, va, vc)
リズムソナタ形式、4楽章、対等な4声
代表アーティスト
- ヨーゼフ・ハイドン
- ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
- ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
- フランツ・シューベルト
- ヨハネス・ブラームス
- アントニン・ドヴォルザーク
- ベラ・バルトーク
- ジェルジ・リゲティ
- ジョージ・ロックバーグ
- ベン・ジョンストン
代表曲
- 弦楽四重奏曲 第33番「鳥」 作品33-3 — ヨーゼフ・ハイドン (1781)YouTube で検索
- 弦楽四重奏曲第19番 ハ長調 K. 465「不協和音」 — ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト (1785)YouTube で検索
- 弦楽四重奏曲第14番 ニ短調「死と乙女」 D 810 — フランツ・シューベルト (1824)YouTube で検索
- 弦楽四重奏曲第14番 嬰ハ短調 作品131 — ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン (1826)YouTube で検索
- 弦楽四重奏曲第6番 — ベラ・バルトーク (1939)YouTube で検索