スペクトル楽派
1970年代パリで興った、音響スペクトル分析を作曲原理とする現代音楽の潮流。
概要
倍音列・音響スペクトルを直接素材として用い、音色そのものを構成原理とする。ジェルヴァシオ・グリゼーとトリスタン・ミュライユが「アンサンブル・イティネレール」(1973)で運動を立ち上げた。
背景
戦後トータル・セリアリズムが「音高関係」のみを構成原理にしたことへの反動として、「音そのもの(音色・倍音)」を中軸に据える発想が生まれた。同時期のFFT解析(高速フーリエ変換)と電子音響技術の発展がこれを支えた。メシアンの音色感覚もまた直接の出発点となった。
発展
グリゼー「Périodes」(1974)、「Partiels」(1975)、ミュライユ「Gondwana」(1980)が初期傑作。1980年代以降カイヤ・サーリアホ、フィリップ・ユレル、ジェラール・ペソン、ジョージ・ベンジャミン(ポスト・スペクトル)らが拡張した。
出来事
- 1973: 「アンサンブル・イティネレール」結成
- 1974: グリゼー「Périodes」
- 1980: ミュライユ「Gondwana」初演
- 1986: グリゼー「Le Noir de l'Étoile」
派生・影響
ポスト・スペクトル音楽、現代電子音響音楽、現代映画音楽の音色重視書法、日本の細川俊夫の自然倍音志向にも影響した。
音楽的特徴
楽器管弦楽、室内楽、電子音響
リズム倍音列、音響スペクトル、緩慢な変容
代表アーティスト
- ジェルヴァシオ・グリゼー
- トリスタン・ミュライユ
- カイヤ・サーリアホ
- 細川俊夫
代表曲
- Périodes — ジェルヴァシオ・グリゼー (1974)YouTube で検索
- Partiels — ジェルヴァシオ・グリゼー (1975)YouTube で検索
- Le Noir de l'Étoile — ジェルヴァシオ・グリゼー (1990)YouTube で検索
- Gondwana — トリスタン・ミュライユ (1980)YouTube で検索