オラトリオ
聖書や宗教的主題を題材に、独唱・合唱・管弦楽で演じない劇音楽として上演する大規模声楽曲。
概要
イタリアの「オラトリオ・ヴォルガーレ」「オラトリオ・ラティーノ」を起源とし、ヘンデルの英語オラトリオで国際的形式となった。レチタティーヴォ、アリア、合唱、序曲が主要構成要素で、舞台衣装を伴わずに上演される点でオペラと区別される。
背景
16世紀末ローマのフィリポ・ネリの祈祷会(オラトリウム)で歌われた宗教歌から発展した。対抗宗教改革下のローマで「教化の劇音楽」として育てられ、ローマ教皇庁の許可のもと四旬節期間(オペラ上演禁止期間)の代替娯楽として人気を得た。
発展
カリッシミ「イェフタ」(c.1648)が古典的型を作り、A.スカルラッティ、カルダーラを経てヘンデルがロンドンで英語オラトリオ「メサイア」(1742)「サウル」「サムソン」によって市民的大規模合唱音楽として完成させた。ハイドン「天地創造」「四季」、メンデルスゾーン「エリヤ」、エルガー「ゲロンティアスの夢」が続き、20世紀でもオネゲル「火刑台上のジャンヌ・ダルク」、ティペット「われらが時代の子」が書かれた。
出来事
- 1648年頃: カリッシミ「イェフタ」
- 1742: ヘンデル「メサイア」ダブリン初演
- 1798: ハイドン「天地創造」初演
- 1846: メンデルスゾーン「エリヤ」バーミンガム初演
派生・影響
ロマン派のドラマティックな宗教合唱曲、オペラ的レクイエム(ヴェルディ)、近代カンタータ・パッション、世俗オラトリオへ流れ込んだ。
音楽的特徴
楽器独唱、合唱、管弦楽
リズムレチタティーヴォ+アリア+合唱、序曲
代表アーティスト
- アレッサンドロ・スカルラッティ
- ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル
- ヨーゼフ・ハイドン
- フェリックス・メンデルスゾーン
代表曲
- サムソン HWV 57 — ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル (1743)YouTube で検索
- 天地創造 — ヨーゼフ・ハイドン (1798)YouTube で検索
- エリヤ — フェリックス・メンデルスゾーン (1846)YouTube で検索
- イェフタ — アレッサンドロ・スカルラッティ (1700)YouTube で検索
- メサイア HWV 56 — ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル (1742)YouTube で検索