ナシード
ヴォーカルとパーカッションのみで歌われるイスラム教の宗教歌・道徳歌。
概要
アラビア語ほか各地語による歌詞で、預言者讃美・道徳・敬虔・共同体結束を歌う声楽伝統。多くの法学派が弦楽器・管楽器を礼拝外で禁忌とするため、ダフ太鼓やフレームドラムのみ、もしくは無伴奏で歌うのが基本。マレー・トルコ・湾岸・北アフリカで近年大衆化した。
背景
中世以降のイスラム文化圏で、楽器禁忌の枠内で許容される歌唱形式として宗教共同体に定着してきた。預言者ムハンマド讃美(マディーフ)、聖者讃美、道徳・教育内容を伝える機能を持ち、家庭・宗教学校・モスク付属行事で歌われる。
発展
20世紀後半のイスラム覚醒運動(サフワ)期に、サウジ・湾岸諸国で『楽器を含まないイスラム的ポップ』として再活性化。サミ・ユスフ(英国・アゼルバイジャン)、マハー・アル=アンマーリー(サウジ)、ザイン・ビカ(レバノン)らが世界的スターとなり、衛星放送・ストリーミングで広まった。
出来事
- 1980年代: サウジ・サフワ運動でナシード復興
- 2003: サミ・ユスフ『Al-Mu'allim』国際ヒット
- 2010: トルコ・マウリディ系ナシードのテレビ放送拡大
派生・影響
現代イスラミック・ポップ、トルコのイラーヒー、マレー世界のクシダ、東アフリカのカシダなどの土壌となった。
音楽的特徴
楽器声、ダフ、フレームドラム(無伴奏も多い)
リズム簡素拍節、コーラス反復、各地語、マカーム旋法
代表アーティスト
- Sami Yusuf
代表曲
- Al-Mu'allim — Sami Yusuf (2003)YouTube で検索
- Asma Allah — Sami Yusuf (2003)YouTube で検索