マディーフ・ナバウィー
預言者ムハンマドへの讃美を歌うアラブ世界の宗教歌唱伝統。
概要
詩人ブースィーリー『ブルダ詩』をはじめとする讃美詩を、独唱と斉唱で交互に歌う形式。シリア・エジプト・モロッコ・湾岸諸国で異なる旋法と詩形を持ち、預言者生誕祭(マウリド)・祭日・婚礼などで実演される。
背景
13世紀ブースィーリーが熱病からの回復体験を題材に書いた『ブルダ詩』(マントの詩)が中世以降アラブ・イスラム世界で最も愛唱される讃詩となり、これを歌う伝統が各地に定着した。神秘主義文学と民衆敬虔の交差点に位置する。
発展
オスマン期に各都市で固有のマディーフ団体が組織され、20世紀にはエジプトのシャイフ・ヤースィーン・トフィー、モロッコのサミー・ユーセフ、シリアのアブー・シャール兄弟らが録音・放送で広めた。マウリド祭の中心音響として今日まで実践される。
出来事
- 1294: ブースィーリー没、『ブルダ詩』流布
- 19世紀: シリア・エジプトでマディーフ専門集団組織化
- 2010年代: ユネスコがアラブ・マウリド儀礼を地域文化遺産として注目
派生・影響
現代ナシード、トルコのイラーヒー、マレーのハドラといった広域的讃美歌伝統の祖型として影響を与えた。
音楽的特徴
楽器声(独唱・合唱)、ダフ、ベンディール、稀にナイ
リズムアラブ・マカーム、ムワッシャハ詩形、コール&レスポンス
代表アーティスト
- Sheikh Yasin al-Tuhami
代表曲
- Qasidat al-Burda — Sheikh Yasin al-TuhamiYouTube で検索