地歌
上方を中心に発展した、声と中棹三味線による室内楽的歌曲。
概要
盲人音楽家(当道座)が中棹三味線と声で演じた古典歌曲。長唄が江戸の劇場音楽であるのに対し、地歌は上方(京都・大阪)の座敷音楽として室内的・抒情的性格を持つ。後に箏・尺八と合奏する三曲形式に発展した。
背景
16世紀末、琉球から伝わった三味線が上方で改良され、当道座の盲人音楽家(検校)たちが中棹を用いる歌曲を発展させた。江戸初期に沢住検校・柳川検校らによってレパートリーが整い、組歌・端歌・手事物などのジャンルが形成された。
発展
18世紀には峰崎勾当・松浦検校ら名人が手事物の名曲を生み、箏曲との合奏が一般化した。19世紀には光崎検校『五段砧』など現代に伝わる代表曲が成立。明治の盲人保護政策で当道座は廃止されたが、生田流・山田流の家元制で継承が続いた。
出来事
- 1610年代: 上方で地歌の様式形成。
- 18世紀: 峰崎勾当・松浦検校らによる手事物の発展。
- 1854年: 光崎検校『五段砧』。
- 1871年: 当道座廃止、流派制継承。
- 1955年: 重要無形文化財指定。
派生・影響
箏曲(生田流系)・尺八との三曲合奏の成立に直結し、近代邦楽の中核を形成した。宮城道雄ら新日本音楽運動の素材としても用いられた。
音楽的特徴
楽器中棹三味線、声、(三曲合奏では)箏、尺八
リズム緩やかなテンポ、手事(器楽間奏)の充実、抒情的旋律