合奏協奏曲
バロック期に確立した、独奏グループ(コンチェルティーノ)と合奏(リピエーノ)の対比を核とする協奏曲形式。
概要
コレッリが基本様式を確立し、ヘンデル、ジェミニアーニ、バッハがそれぞれ独自の発展を加えた。多楽章で、急‐緩‐急の三楽章ないし四楽章構成が一般的。フガート、リトルネロ形式、対位法的書法を多用する。
背景
17世紀後半のローマで、教会・貴族邸での器楽演奏文化が成熟し、独奏者と合奏の対比という劇場的発想が器楽に持ち込まれた。当時のヴァイオリン製作(ストラディヴァリ、アマティ)と弓奏法の発達が、独奏ヴァイオリンの華麗な書法を可能にした。教会ソナタ/室内ソナタ伝統と協奏様式が融合した。
発展
コレッリ「12の合奏協奏曲」作品6(1714年出版、作曲は17世紀末)が古典的型を示し、ヘンデル作品6(1739)が劇的・モニュメンタルな到達を見せた。バッハ「ブランデンブルク協奏曲」(1721)は独奏編成を多彩に変化させた特殊例。18世紀後半には独奏協奏曲に主役を譲り、形式自体は古典派以降ほぼ廃れた。
出来事
- 1681: コレッリ「トリオ・ソナタ」作品1出版、後の協奏曲書法の準備
- 1714: コレッリ「合奏協奏曲」作品6出版(没後)
- 1721: バッハ「ブランデンブルク協奏曲集」献呈
- 1739: ヘンデル「合奏協奏曲」作品6
派生・影響
独奏協奏曲、後の古典派交響曲・協奏曲の基礎構造(リトルネロ・ソナタ形式)を準備した。20世紀には新古典主義のストラヴィンスキー「ダンバートン・オークス協奏曲」やシュニトケ「合奏協奏曲」シリーズで現代的に再解釈された。
音楽的特徴
楽器弦楽合奏、通奏低音、独奏弦楽器群
リズムリトルネロ形式、急‐緩‐急、対位法
代表アーティスト
- アルカンジェロ・コレッリ
- アントニオ・ヴィヴァルディ
- ゲオルク・フィリップ・テレマン
- ヨハン・ゼバスティアン・バッハ
- ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル
代表曲
- クリスマス協奏曲 作品6-8 — アルカンジェロ・コレッリ (1714)YouTube で検索
- 合奏協奏曲ニ長調 作品6-4 — アルカンジェロ・コレッリ (1714)YouTube で検索
- ブランデンブルク協奏曲第3番 BWV 1048 — ヨハン・ゼバスティアン・バッハ (1721)YouTube で検索
- ブランデンブルク協奏曲第5番 BWV 1050 — ヨハン・ゼバスティアン・バッハ (1721)YouTube で検索
- 合奏協奏曲ト短調 HWV 319 — ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル (1739)YouTube で検索