イエメン伝統音楽(サンアーニー/ハドラミー)
イエメン高原のサンアーニー詩歌と海岸ハドラマウト地方のハドラミー音楽からなる、アラビア半島最古の音楽伝統群。
概要
カンブース(短頸リュート)、トゥルブ・カバスィー(箱型琴)、サフン(銅皿)、合唱で構成。サンアーニー様式は宮廷風の高雅な詩で7~8拍子の独特の拍子(ダサース)を持ち、ハドラミー様式はインド洋交易圏の影響を反映する。
背景
イスラーム以前のアラブ宮廷音楽の名残を保ち、特にサンアーニー詩歌は7世紀以来の連続性を主張する。ユダヤ系イエメン人(イエメニ・ジューイッシュ)が宮廷詩シャーバ・ハダーニの伝承の中心を成し、彼らがイスラエルへ大規模に移住した1949年以降、多くが移植された。ハドラミー音楽は東アフリカ・スワヒリ海岸とインドネシア(ハドラミー商人ディアスポラ)を介して環インド洋的に拡散した。
発展
20世紀後半、ムハンマド・ムルシド・ナージーらが録音文化を整え、ハドラミー音楽はインドネシア・ガンバス系音楽との接続で再評価された。2003年にユネスコがサンアーニー詩歌を無形文化遺産に登録した。2015年以降の内戦で多くの音楽家が亡命し、伝承の危機が続く。
出来事
- 7世紀: シャーバ詩成立
- 1949: ユダヤ系イエメン人イスラエル移住
- 2003: サンアーニーがユネスコ無形文化遺産登録
- 2015: イエメン内戦で音楽家亡命
派生・影響
アラブ宮廷古典、ユダヤ系シャーバ詩、東アフリカ・ターラブ、インドネシア・ガンバスと深く交差。
音楽的特徴
楽器カンブース、トゥルブ・カバスィー、サフン、声
リズムダサース拍子、フリー前奏、宮廷詩