古典

トッカータ

Toccata

イタリア / 南欧 · 1580〜1750年

鍵盤奏者の名人芸を披露する、自由形式の即興的鍵盤曲。

概要

「触れる(toccare)」を語源とし、鋭いパッセージワークと模倣的セクションを交互に組み合わせる。フレスコバルディからブクステフーデ、バッハに至るまで、北イタリア・ドイツ・ネーデルラントで独自に発展した。

背景

16世紀後半のヴェネツィア・サン・マルコ寺院で、ガブリエーリらが大型オルガンの即興演奏を芸術化し、トッカータの母型を作った。バロック期にはオルガニストが入退場や儀式の合間に「触れる」演奏を披露する慣習が広まり、即興と作曲の境界を曖昧にした。

発展

フレスコバルディ「トッカータ集第1巻」(1615)が劇的なリズム転換と装飾を持ち込み、フローベルガーがドイツへ移植した。北ドイツでは「ペダルもふんだんに用いる即興」が発展し、ブクステフーデを経てバッハ「トッカータとフーガ ニ短調」(BWV565、伝)に至った。18世紀半ばには独立曲としては衰退し、前奏曲とフーガのスタイルに吸収された。

出来事

  • 1593: アンドレア・ガブリエーリ「Intonationi」出版
  • 1615: フレスコバルディ「トッカータ集第1巻」
  • 1700年頃: ブクステフーデ、北ドイツ・トッカータ確立
  • 1730年頃: バッハ「トッカータとフーガ ニ短調」

派生・影響

前奏曲とフーガ、幻想曲、19世紀のシューマン・トッカータ作品7、20世紀ラヴェル「クープランの墓」のトッカータ、プロコフィエフのピアノ・トッカータへと、技巧的鍵盤書法の代名詞となった。

音楽的特徴

楽器オルガン、チェンバロ

リズム自由形式、装飾的パッセージ、模倣セクション

代表アーティスト

  • ジローラモ・フレスコバルディイタリア · 1605年〜1643
  • ディートリヒ・ブクステフーデデンマーク/ドイツ · 1670年〜1707
  • ヨハン・ゼバスティアン・バッハドイツ · 1703年〜1750

代表曲

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