フーガ
主題が複数声部に順次模倣されて発展する厳格な対位法形式。バロック対位法の頂点。
概要
提示部(エクスポジション)、嬉遊部(エピソード)、再現を繰り返しながら、転調と対主題で展開する。バッハ「フーガの技法」「平均律クラヴィーア曲集」がモデルとなり、後世の対位法教育の基礎となった。
背景
16世紀のリチェルカーレやカンツォーナから派生し、17世紀後半の北ドイツ・オルガン伝統で形式が結晶化した。プロテスタントの厳格な合唱・オルガン文化が複雑な対位法を支え、ルター派の音楽教育で対位法が学識の証となった。
発展
フローベルガー、パッヘルベルが基本形を確立し、バッハが「平均律クラヴィーア曲集」(1722・1742)と「フーガの技法」(1751)で芸術的頂点を示した。古典派以降は独立形式というより楽章内技法として用いられ、ベートーヴェン後期、メンデルスゾーン、ブラームスが復活させた。20世紀ではヒンデミット、バルトーク、ショスタコーヴィチが新古典主義的に再解釈した。
出来事
- 1722: バッハ「平均律クラヴィーア曲集」第1巻完成
- 1742: 同第2巻完成
- 1751: バッハ「フーガの技法」未完出版
- 1825: ベートーヴェン「大フーガ」作品133
派生・影響
古典派ソナタ展開部内のフガート、19世紀の合唱フーガ(ベートーヴェン「荘厳ミサ」)、20世紀のシュニトケら新古典主義作曲家まで、絶え間なく参照され続ける形式である。
音楽的特徴
楽器鍵盤楽器、合唱、室内楽、管弦楽
リズム主題模倣、対主題、転調設計
代表アーティスト
- ジローラモ・フレスコバルディ
- ディートリヒ・ブクステフーデ
- ヨハン・ゼバスティアン・バッハ
- パウル・ヒンデミット
代表曲
- 平均律クラヴィーア曲集第1巻 第1番 ハ長調 BWV 846 — ヨハン・ゼバスティアン・バッハ (1722)YouTube で検索
- 平均律第2巻 嬰ハ短調 BWV 873 — ヨハン・ゼバスティアン・バッハ (1742)YouTube で検索
- 大フーガ 変ロ長調 作品133 — ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン (1825)YouTube で検索
- フーガの技法 BWV 1080 — ヨハン・ゼバスティアン・バッハ (1751)YouTube で検索