宗教・霊歌

シリア聖歌

Syriac Chant

シリア・イラク・レバノン / 西アジア · 200年〜

別名: Beth Gazo

シリア語典礼を持つ東方諸教会で歌われる古代キリスト教聖歌。マロン派・シリア正教会・東方教会など多教派で共有される。

概要

古典シリア語(アラム語の方言)による単旋律聖歌で、エフレム(306-373)の詩形を基盤に発達した。8つの旋法体系『Beth Gazo』を持ち、対唱形式と讃歌詩の交替を典礼の骨格とする。中東各地のディアスポラ教会で現在も男声中心の合唱で歌われる。

背景

イエスや初期キリスト教徒が使ったアラム語に最も近い言語で歌われる伝統で、シリア・メソポタミア地域の最古層のキリスト教文化を伝える。ナジルやエフレムらの詩は教義教育と霊性涵養を兼ね、女性合唱団『契約の娘たち』など独自の制度も生んだ。アラブ世界のキリスト教マイノリティの自己同一性を支える。

発展

5世紀以降、カルケドン公会議をめぐる神学論争で東方教会・シリア正教会・マロン派などに分かれたが、聖歌伝統は基層を共有しつつ各派で独自発展した。20世紀のヌヘル・モラン・マル・イグナティウス・ザッカ1世らシリア正教会総主教により楽譜の再整備と録音が進められた。中東紛争で伝承基盤が脅かされ、欧州・南北アメリカのディアスポラに保全されつつある。

出来事

  • 363: エフレム没、シリア讃歌詩の確立
  • 410: 第1ニカイア公会議派が東シリア教会を承認
  • 451: カルケドン公会議、シリア教会の三分裂
  • 2010代: 中東紛争でモスル・アレッポなどの伝統圏が壊滅

派生・影響

ビザンティン聖歌・アルメニア聖歌・コプト聖歌・初期グレゴリオ聖歌の旋律源として東方キリスト教音楽全体に影響を与えた。

音楽的特徴

楽器男声斉唱、稀にナーグース(シンバル)

リズム自由リズム、8旋法(Beth Gazo)、シリア語、対唱形式

代表アーティスト

  • Choir of the Monastery of Saint Ephremシリア・レバノン · 1980年〜

代表曲

  • Beth Gazo: Mor Ephrem HymnsChoir of the Monastery of Saint EphremYouTube で検索

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