古ローマ聖歌
ローマ市内の教皇・教区教会で伝承されてきたラテン聖歌で、グレゴリオ聖歌とは異なる旋律体系を持つ。
概要
11-13世紀にローマ市の写本にのみ記録された聖歌で、グレゴリオ聖歌と典礼テキストや構造を共有しつつ旋律はより装飾的で東方的な響きを持つ。8世紀以前の『真のローマ聖歌』の姿を残すと考えられている。
背景
教皇庁付聖歌隊スコラ・カントルムの伝承として継承されたローマ独自の聖歌で、ガリア化されない原ローマ典礼の音響的姿を伝えるとみられる。フランク王国でローマ典礼として広まった『グレゴリオ聖歌』は、実はカロリング朝でガリア要素と融合した派生形だったとする学説の根拠となっている。
発展
12世紀末に教皇庁聖歌隊もフランク=グレゴリオ系に切り替わり、13世紀以降は写本伝承も途絶した。20世紀の音楽学者ブルーノ・シュテーブラインらによる比較研究で、ローマ独自伝統として再評価され、現在は古楽演奏で部分的に復元されている。
出来事
- 8世紀: ローマ・スコラ・カントルムでこの伝統が成熟
- 1071: ローマ写本Vat. lat. 5319、現存最古の記譜資料
- 1950頃: シュテーブラインが古ローマ聖歌の独自性を提唱
派生・影響
グレゴリオ聖歌成立過程を解明する鍵となる伝統であり、近年の演奏実践は中世音楽研究全体に新たな視座を与えた。
音楽的特徴
楽器男声斉唱(無伴奏)
リズム自由リズム、装飾的旋律、独自詩篇トーン
代表アーティスト
- Ensemble Organum
代表曲
- Chant Vieux-Romain — Ensemble Organum (2006)YouTube で検索