ノートルダム楽派
12世紀後半〜13世紀のパリ、ノートルダム大聖堂を中心に活動した多声音楽の楽派。
概要
レオニヌスとペロタンを代表とし、メリスマ的オルガヌム、ディスカントゥス、コンドゥクトゥスを高度に発展させた。リズム・モードによる初の体系的なリズム記譜を実現し、西洋多声音楽の方向性を決定づけた。
背景
1163年に着工されたノートルダム大聖堂は、パリ大学の学知と王権の象徴を兼ねる場所だった。スコラ哲学の隆盛により、音楽もまた論理的・思弁的構築の対象となった。中央集権化するカペー朝のもと、パリは中世ヨーロッパの知の中心となり、教会音楽の革新もそこで集約された。フィリップ尊者ら高位聖職者の支持が高度な楽曲制作を後押しした。
発展
1170年頃のレオニヌスは「マグヌス・リベル・オルガニ」で典礼暦を通じた2声オルガヌムを編纂し、後継のペロタンが3声・4声化と新しい長大なディスカントゥス様式を確立した。リズム・モード(6種の定型リズム)の体系化により、対位法的書法と精緻なリズム構築が可能になった。フランコ・フォン・ケルンの計量記譜論が後を継ぎ、アルス・アンティクアからアルス・ノヴァへの橋渡しとなった。
出来事
- 1163: パリ・ノートルダム大聖堂着工
- 1170年頃: レオニヌス「マグヌス・リベル・オルガニ」
- 1198: ペロタン「Viderunt omnes」4声
- 1230年頃: フランコ・フォン・ケルン、計量記譜法理論
派生・影響
ノートルダム楽派の革新は、その後のモテット、アルス・アンティクア、アルス・ノヴァを経て、ルネサンス・ポリフォニーまで続く対位法伝統の出発点となった。20世紀の作曲家(メシアン、ペルト、坂本龍一)も中世多声の透明な響きから多くを汲んだ。
音楽的特徴
楽器男声合唱
リズムリズム・モード、3声・4声の対位
代表アーティスト
- レオニヌス
- ペロタン
代表曲
Magnus Liber Organi — レオニヌス (1175)YouTube で検索- Viderunt omnes (4声) — ペロタン (1198)YouTube で検索
- Sederunt principes — ペロタン (1199)YouTube で検索
- Beata viscera — ペロタン (1200)YouTube で検索