イシカタミヤ
南アフリカ・ズールー系の鉱山労働者宿舎で1920年代以降に発達した、無伴奏男声合唱の宗教・世俗ジャンル。
概要
リード歌手と4~10人のバスのコーラスが、低音から高音までを重ねる和声合唱。「忍び足で踊る」を意味するイシカタミヤ語源どおり、揃った静かなステップを伴う。土曜深夜のオールナイト合唱大会で競演された。
背景
1900年代以降、ズールー系の若い男性が金鉱・砂糖プランテーションでの労働を求めてダーバンやヨハネスブルクの宿舎に集住し、教会賛美歌の和声を独自に再構成した。1939年ソロモン・リンダの「ムベベ」(後の「ライオンは寝ている」)が世界的に知られる原型となる。植民地経済が引き裂いた家族・故郷との連帯感を、男声合唱で再構築する社会的機能を持った。
発展
1960年代以降、レディスミス・ブラック・マンバーゾがジョセフ・シャバララ指揮で全国大会を制覇し、1986年ポール・サイモン『グレイスランド』への参加で世界デビューした。同年代に「ムベベ」の著作権訴訟がリンダ家族に印税の一部を取り戻した史実は重要である。
出来事
- 1939: ソロモン・リンダ「ムベベ」録音
- 1960: レディスミス・ブラック・マンバーゾ結成
- 1986: ポール・サイモン『グレイスランド』参加
- 2006: 「ライオンは寝ている」著作権訴訟和解
派生・影響
ムブベ、米国ドゥーワップへの間接的影響、現代南アフリカ・ゴスペル合唱の母体。
音楽的特徴
楽器声(無伴奏)、足踏み
リズムI-IV-V-I和声循環、ピアニッシモ歌唱、忍び足ステップ
代表アーティスト
- Solomon Linda
- Ladysmith Black Mambazo
代表曲
- Mbube — Solomon Linda (1939)YouTube で検索
- Homeless — Ladysmith Black Mambazo (1986)YouTube で検索