グルバーニ・キールタン
シク教の聖典『グル・グラント・サーヒブ』の讃歌を、定められたラーガで歌う典礼音楽。
概要
シク教の朝夕礼拝『ニトネム』および集会儀礼で、グル・グラント・サーヒブの詩(シャバド)を31の指定ラーガに従って歌う。ハルモニウム、タブラ、ディルルバ、サランダなど特有楽器が用いられ、グランティ(朗読者)とラーギー(歌い手)が共同で礼拝を導く。
背景
シク教の創始者グル・ナーナク(1469-1539)以降の歴代グルは、宗教メッセージを音楽と詩で伝えることを重視し、自らも作曲・作詞を行った。第5代グル・アルジャン(1604)がアーディ・グラントを編纂した時点で、各シャバドにラーガが指定された。神への詠唱を共同体形成の核とする独自伝統。
発展
19世紀シーク帝国期にラーギー伝統が制度化され、20世紀には公的な指定演奏者制度が整えられた。20世紀末以降の海外ディアスポラ拡大で、英国、カナダ、米国の大規模グルドゥワーラーがキールタン継承の中心となっている。バーイー・バルディヤール・シン、バーイー・ハルジンダー・シンらの録音が世界的に知られる。
出来事
- 1604: 第5代グル・アルジャンがアーディ・グラントを編纂、ラーガ指定
- 1708: 第10代グル・ゴービンド・シン、グラントを永続的グルと宣言
- 1925: シク・グルドゥワーラ法、ラーギー制度公的化
- 2004: グル・グラント・サーヒブ400周年祭
派生・影響
パンジャーブ民俗音楽、現代パンジャービー・ポップ、近年のシク・スピリチュアル・ロック(スナム・サンガル等)の音楽的源泉。
音楽的特徴
楽器ハルモニウム、タブラ、ディルルバ、サランダ、声
リズム31の指定ラーガ、シャバド詩形、グルムキー文字、礼拝循環
代表アーティスト
- Bhai Harjinder Singh Srinagar Wale
代表曲
- Anand Sahib — Bhai Harjinder Singh Srinagar WaleYouTube で検索
- Mool Mantar — Bhai Harjinder Singh Srinagar WaleYouTube で検索