エジプト古典(ウンム・クルスーム時代)
20世紀前半~中盤のカイロで、ウンム・クルスームを頂点に成立したアラブ世界共通の古典歌謡様式。
概要
30人規模の管弦楽団(タクト)、ヴァイオリン群、カヌーン、ウード、ナイ、リク、独唱者で構成。1曲が30~60分にわたる長大な構造を持ち、マカームを移動しながら独唱者が即興的にメリスマを展開する。
背景
オスマン帝国崩壊後のアラブ復興運動の中で、カイロが汎アラブ文化の首都となった。ウンム・クルスーム、ムハンマド・アブドルワッハーブ、リヤード・アル・スンバーティーらが詩人アハメド・シャウキやアハメド・ラーミーの詩に作曲し、汎アラブのラジオ放送網を介して各地で共有された。1948年のパレスチナ戦争以降、汎アラブ・アイデンティティの感情的支柱として機能した。
発展
ウンム・クルスームの月例コンサートはアラブ全域で「木曜の夜」と呼ばれ放送され、国家元首と並ぶ規模の影響力を持った。1975年の彼女の葬儀には300万人が集まったと言われる。後の世代ではアブデルハリーム・ハーフェズ、ファリード・アル・アトラシュが継承し、現代のフェイルーズやマジダ・アル・ルーミに連なる。
出来事
- 1923: ウンム・クルスーム録音開始
- 1934: 国営ラジオ「カイロ放送」開局
- 1957: アブデルハリーム・ハーフェズ全盛期
- 1975: ウンム・クルスーム逝去・国葬
派生・影響
アラブ・タラブ、レバノン・ザジャル、シリア・ムワシャハ、現代アラブ・ポップに大きな影響。
音楽的特徴
楽器ヴァイオリン、カヌーン、ウード、ナイ、リク、合唱、独唱
リズムマカーム移動、長大な即興メリスマ、サマイ拍子
代表アーティスト
- Mohamed Abdel Wahab
代表曲
- Cleopatra — Mohamed Abdel Wahab (1952)YouTube で検索
- Inta Omri (composition) — Mohamed Abdel Wahab (1964)YouTube で検索