スーダン民俗歌謡(アガーニー・アル=バナート)
ナイル・ヌビア・アラブ・サヘルが交錯するスーダンの結婚式・社会儀礼の歌で、特に女性が担う「娘たちの歌」が象徴的存在。
概要
シンプルなドゥマと拍手、レク(タンバリン状打楽器)、ウードを伴奏に、女性歌手が冗談・恋愛・社会風刺を即興で交わすジャンル。男性中心の宮廷音楽ハッカーバ・タウム・ジャズに対し、家庭・路地で育まれた口承文化として位置付けられる。
背景
オスマン期から英埃共同統治期にかけて、ハルツーム周辺の都市で結婚式の女性歌が発達し、独立後の1960~70年代に商業録音された。1989年以降のイスラーム主義バシール政権下で公的な女性パフォーマンスは厳しく制限され、地下化と亡命が進んだ。アラブ系・ヌビア系・南部の黒人系の境界に位置する社会的緊張が、歌詞や声の使い方ににじむ。
発展
アンサーフ・マダニーが2010年代にカタール・ドーハから国際展開し、亡命中のスーダン女性歌手の象徴となった。2019年の市民革命でも女性の歌は街頭で重要な役割を果たし、世界的にニューズ価値を帯びた。アガーニー・アル=バナートは現代ヒップホップやR&Bともコラボレーションを始めている。
出来事
- 1956: スーダン独立、国営ラジオ放送開始
- 1989: バシール軍事クーデター、女性公演の制限始まる
- 2014: アンサーフ・マダニーがドーハで活動再開
- 2019: 民主化革命で女性歌手が街頭で歌う
派生・影響
ヌビア音楽、アラブ・ターラブ、マグレブ・シャアビ、サヘル太鼓と相互交渉し、現代スーダン・ポップの母体となった。
音楽的特徴
楽器ドゥマ、レク、ウード、手拍子、声
リズムアヤージュ歌唱、即興拍手、ベラディ系拍子
代表アーティスト
- Anṣaf Madani