コプト聖歌
エジプトのコプト正教会で伝承される古代エジプト・ギリシャ起源を持つキリスト教典礼歌。
概要
コプト語(後期エジプト語)とアラビア語による典礼を、男声合唱・打楽器(シンバル様の小カンパヌラと三角鉄)に乗せて歌う。長大なメリスマと自由な拍節、古代エジプト音楽からの連続性を主張する独自の旋法体系を持ち、世界最古級のキリスト教音楽とされる。
背景
1世紀の聖マルコによるアレクサンドリア教会創設に淵源を持つとされ、ファラオ時代の神殿音楽を吸収した可能性が指摘される伝統である。451年カルケドン公会議で東方正教会主流から分離し(東方諸教会)、独自の神学・典礼・音楽を保ってきた。コプト共同体のアイデンティティと社会的紐帯の核として機能している。
発展
イスラム期(7世紀以降)もコプト共同体内で口承により保存され、長く記譜化されないまま伝承された。20世紀初頭のラーガブ・モフタール、ラギブ・モウィーらによりカイロのコプト・クレリカル研究所で初めて記譜・録音され、近年は学術的整備が進んでいる。教皇シェヌーダ3世期(1971-2012)以降の宗派覚醒運動の中で世界に広まった。
出来事
- 451: カルケドン公会議、コプト教会分離
- 7世紀: イスラム征服後も典礼継承
- 1893: コプト・クレリカル・カレッジ設立、聖歌教育体系化
- 1976: ラギブ・モウィー、聖歌全集の楽譜出版
派生・影響
エチオピア正教会聖歌(ゼーマー)に教義・典礼を通じて影響を与え、エジプト民俗音楽との相互浸透も指摘される。
音楽的特徴
楽器男声斉唱、シンバル(ナーグース)、三角鉄
リズム自由リズム、長大なメリスマ、コプト語、独自旋法
代表アーティスト
- David Ensemble
代表曲
- Coptic Liturgy of St. Basil — David EnsembleYouTube で検索