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Sacred

Gregorian Chant

750–present

Also known as: Plainchant / Cantus planus

ローマ・カトリックのラテン語典礼で歌われる、単旋律・無伴奏の聖歌。現代のドレミも五線譜も、もとはこの聖歌を教えるために生まれた——西洋音楽の記譜と音階の出発点である。

What it sounds like

中世西方カトリック教会の典礼で歌われる、全員が一本の同じ旋律を声をそろえて歌う、無伴奏の宗教歌。歌詞はラテン語の聖書や祈祷文で、その言葉に旋律を付けたものだ。テンポは厳密に決まっておらず、言葉のアクセントとブレスで自然に流れる。歌い手は男声(数名〜30名ほどの修道士)が中心で、1人の独唱から合唱までさまざまだが、女声(尼僧)のバージョンもある。石造りの聖堂がもつ長い残響(4〜8秒)が音そのものの一部で、フレーズとフレーズのあいだの沈黙も、その響きの中に置かれる。記譜は「ネウマ譜」という、現代の五線譜とは違う独自の記号で書かれる。

How it came about

6世紀末の教皇グレゴリウス1世が各地の典礼旋律を整理・統一したという伝承から「グレゴリオ聖歌」と呼ばれる。だが実際に編集が進んだのは2世紀後、フランク王国のカロリング朝(8〜9世紀)の王たち——ピピン3世やシャルルマーニュ——が広大な領内に統一された典礼を広めようとした時期だと考えられている。つまり名前の主であるグレゴリウス1世は、この音楽の成立にはほとんど関わっていない。いま私たちが聴くグレゴリオ聖歌の旋律は、実は19世紀の修道士たちが古い写本を解読して「復元」したものだ。中世を通じて伝承の場であったのは修道院で、10世紀前半(922〜926年頃)の聖ガレン修道院の手稿譜(カンタトリウム)は、精緻にネウマが付された最古級の写本の一つとして知られる。ほかにラン、アインジーデルンなどの写本も初期の重要な資料だ。フランスのソレム修道院では、1833年に修道院長ゲランジェ(「ドム」は修道士への敬称)が修道院を再興し、これを機に楽譜の学術的な復元が始まった。口伝で代々受け継がれるうちに揺らいでいた旋律を、古い写本から元の形に確定していく作業である。これが19世紀末から20世紀初頭に実を結び、今日歌われるグレゴリオ聖歌の標準形が確立された。1990年代には、スペインの修道士たちの過去の録音をまとめた再発盤『Chant』が世界で約500〜600万枚を売り上げ、予想外のブームが起きた。

What to listen for

言葉のアクセントとメロディが完全に同期している。たとえば3音節の「Kyrie(キリエ)」では、真ん中の「ri」に自然なアクセントが来て、メロディもそこで持ち上がる。曲によっては1音節に20音以上のメロディ(メリスマ)が付き、一つの母音が長く引き伸ばされて、言葉が旋律に溶けていくように聞こえる。教会の残響が消えてから次のフレーズが始まるので、沈黙も音楽の一部だ。

If you only hear one thing

1曲なら、ソレム修道院聖歌隊の『Kyrie XI』(ミサ通常文 Orbis factor)。ミサで毎回必ず歌われる定型句(「主よ、あわれみたまえ」)の代表曲で、数分ほどと短い。アルバムなら、世界的ベストセラーとなった定番、Santo Domingo de Silos修道士の『Chant』(1994)。さらに深く浸りたいなら、ヒルデガルト・フォン・ビンゲンの典礼歌集(Schola Hungarica盤)。作曲者の名がほとんど残らないこの世界で、名前と旋律の両方が残る稀有な女性作曲家である。旋律がよりドラマティックで、純粋なグレゴリオ聖歌ではないが、その延長線上にある。

Trivia

現代の五線譜の起源は、11世紀イタリアの修道士グイド・ダレッツォがグレゴリオ聖歌を教えるために体系化・普及させた4線譜にある。彼は「Ut(後にDo) Re Mi Fa Sol La」のソルミゼーション(音に名前を付けて歌う方法)も広めた。この6つの名前は、洗礼者ヨハネを讃えるラテン語賛歌から取られた——各行の最初の音が一つずつ高くなる賛歌で、その頭文字がそのまま音の名前になったのだ。つまり「ドレミファソラ」というあの読み方は、グレゴリオ聖歌教育用に1000年前に作られた仕組みなのである。

Notable artists

  • Hildegard von Bingen1140–1179
  • Choeur des Moines de l'Abbaye Saint-Pierre de Solesmes1833–present
  • Schola Hungarica1969–present
  • Anonymous 41986–2015

Notable tracks

  • Ave Maria (Gregorian)Choeur des Moines de l'Abbaye Saint-Pierre de Solesmes
  • Salve ReginaChoeur des Moines de l'Abbaye Saint-Pierre de Solesmes
  • O Virtus SapientiaeHildegard von Bingen (1150)
  • Columba aspexitHildegard von Bingen (1158)
  • An English LadymassAnonymous 4 (1992)
  • Veni Creator SpiritusChoeur des Moines de l'Abbaye Saint-Pierre de Solesmes

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